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煎豆
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いりまめ
ふりがな文庫
“
煎豆
(
いりまめ
)” の例文
「
煎豆
(
いりまめ
)
」があり、「紅梅焼」があり、「雷おこし」があったといっても、それらは直接「観音さま」に関聯する何ものも持たなかった。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
今しがたまでお客がいたものと見え、酒のかおりと共に、
煙草
(
たばこ
)
の
烟
(
けむり
)
も
籠
(
こも
)
ったままで、
紫檀
(
したん
)
の
卓
(
テーブル
)
の
溝
(
みぞ
)
には
煎豆
(
いりまめ
)
が一ツ二ツはさまっていた。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「ヘーヘー恐れ
煎豆
(
いりまめ
)
はじけ豆ッ、あべこべに御意見か。ヘン、親の
謗
(
そしり
)
はしりよりか些と自分の頭の
蠅
(
はえ
)
でも
逐
(
お
)
うがいいや、面白くもない」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
四方を眺むれば橋の袂に焼くもろこしの匂い、
煎豆
(
いりまめ
)
の音、氷屋の呼声かえッて熱さを加え、立売の
西瓜
(
すいか
)
日を視るの想あり。
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
錨を上げる震動が、錨室と背中合せになっている漁夫を
煎豆
(
いりまめ
)
のようにハネ飛ばした。サイドの鉄板がボロボロになって、その度にこぼれ落ちた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
▼ もっと見る
弾
(
はじ
)
かれた
煎豆
(
いりまめ
)
のように、
雨戸
(
あまど
)
の
外
(
そと
)
へ
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、
酔
(
よ
)
いも一
時
(
じ
)
に
醒
(
さ
)
め
果
(
は
)
てて、一
寸先
(
すんさき
)
も
見
(
み
)
えなかったが、それでも
溝板
(
どぶいた
)
の
上
(
うえ
)
を
駆
(
か
)
けだして、
角
(
かど
)
の
煙草屋
(
たばこや
)
の
前
(
まえ
)
まで
来
(
く
)
ると
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そして袂から
煎豆
(
いりまめ
)
を出して、ぽりぽり食べ初めたが、時々、愛くるしい唇の間から、
虫蝕
(
むしく
)
いで黒くなった
糸切歯
(
やえば
)
が見え、あまり歯が丈夫でない
質
(
たち
)
とみえて固い豆がよく
噛
(
か
)
めない。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
谷中尉は、
煎豆
(
いりまめ
)
の
殻
(
から
)
をはき出しながら、じろりと私の顔を眺め、そう言った。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
吾
(
われ
)
当世の道理は
知
(
しら
)
ねど
此様
(
このよう
)
な気に入らぬ金受取る事
大嫌
(
だいきらい
)
なり、珠運様への百両は
慥
(
たしか
)
に返したれど
其人
(
そのひと
)
に礼もせぬ子爵から
此
(
この
)
親爺
(
おやじ
)
が
大枚
(
たいまい
)
の礼
貰
(
もらう
)
は
煎豆
(
いりまめ
)
をまばらの歯で
喰
(
く
)
えと云わるゝより有難迷惑
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
唯
(
ただ
)
台所で音のする、
煎豆
(
いりまめ
)
の
香
(
か
)
に小鼻を
怒
(
いか
)
らせ、
牡丹
(
ぼたん
)
の
有平糖
(
あるへいとう
)
を
狙
(
ねら
)
う事、毒のある
胡蝶
(
こちょう
)
に似たりで、
立姿
(
たちすがた
)
の
官女
(
かんじょ
)
が
捧
(
ささ
)
げた
長柄
(
ながえ
)
を抜いては
叱
(
しか
)
られる、お
囃子
(
はやし
)
の
侍烏帽子
(
さむらいえぼうし
)
をコツンと突いて、また叱られる。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同心等の持つてゐた三
文目
(
もんめ
)
五
分筒
(
ふんづゝ
)
が
煎豆
(
いりまめ
)
のやうな音を立てた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
煎豆
(
いりまめ
)
をお手のくぼして梅の花
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
それから此の士官の部屋に行き、
煎豆
(
いりまめ
)
を噛みながら、
暫
(
しばら
)
く雑談をした。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
小石川富坂
(
こいしかわとみざか
)
の
源覚寺
(
げんかくじ
)
にあるお
閻魔様
(
えんまさま
)
には
蒟蒻
(
こんにゃく
)
をあげ、
大久保百人町
(
おおくぼひゃくにんまち
)
の
鬼王様
(
きおうさま
)
には
湿瘡
(
しつ
)
のお礼に
豆腐
(
とうふ
)
をあげる、
向島
(
むこうじま
)
の
弘福寺
(
こうふくじ
)
にある「
石
(
いし
)
の
媼様
(
ばあさま
)
」には子供の
百日咳
(
ひゃくにちぜき
)
を祈って
煎豆
(
いりまめ
)
を
供
(
そな
)
えるとか聞いている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
煎豆
(
いりまめ
)
が一粒、その手の指のあいだに挾まった。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
煎
常用漢字
中学
部首:⽕
13画
豆
常用漢字
小3
部首:⾖
7画
“煎豆”で始まる語句
煎豆屋
煎豆腐