“糸切歯”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いときりば66.7%
やえば33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
恐らく上顎の糸切歯いときりばがここに喰いこんで、四郎少年の皮膚と肉とを破り、頸動脈をさえ喰い切ったのであろう。ああ、何者の仕業であろう。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼女の糸切歯いときりばは真白で大きくて、笑う時には、くちびるはしがその糸切歯にかかって、謎の様な曲線を作るのだが、右のほおの青白い皮膚ひふの上の大きな黒子ほくろが、その曲線に照応して
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして、年ばえもそう大しては違わない、一つか二つほど上であろう。色が白くて、笑靨えくぼが深かった、笑うと、すこしむしっている糸切歯やえばが唇からこぼれて見える。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして袂から煎豆いりまめを出して、ぽりぽり食べ初めたが、時々、愛くるしい唇の間から、虫蝕むしくいで黒くなった糸切歯やえばが見え、あまり歯が丈夫でないたちとみえて固い豆がよくめない。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)