“やえば”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
八重歯80.0%
糸切歯20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
生温なまあたたかい感触が、私の身内まで伝わっているのを感じると、アア、私はとうとう、矢場やにわに彼女を抱き寄せ、八重歯やえばのふくれ上った、あのモナ・リザの唇を盗んでしまったのである。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
妙子のつかめば消えてしまい相な、しなやかな身躯からだ、ほほえむとニッと白い八重歯やえばの見える、夢の様に美しい顔、胸のくすぐられる様な甘い声音こわね、それらの一つ一つが、時がたてばたつ程
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして、年ばえもそう大しては違わない、一つか二つほど上であろう。色が白くて、笑靨えくぼが深かった、笑うと、すこしむしっている糸切歯やえばが唇からこぼれて見える。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして袂から煎豆いりまめを出して、ぽりぽり食べ初めたが、時々、愛くるしい唇の間から、虫蝕むしくいで黒くなった糸切歯やえばが見え、あまり歯が丈夫でないたちとみえて固い豆がよくめない。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)