水平線すいへいせん)” の例文
汽船きせんがいくとみえて水平線すいへいせんに、一まつけむりのぼり、おき小島こじまには、よるになると煌々こうこうとしてひかりはな燈台とうだいが、しろとうのようにかすんでいます。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おそろしき一夜いちやつひけた。ひがしそらしらんでて、融々うらゝかなる朝日あさひひかり水平線すいへいせん彼方かなたから、我等われらうへてらしてるのは昨日きのふかはらぬが、かはてたのは二人ふたり境遇みのうへである。
おまけに水平線すいへいせんの上のむくむくした雲のむこうから鉛いろの空のこっちから口のむくれた三びきの大きな白犬によこっちょにまたがって黄いろのかみをばさばささせ大きな口をあけたり立てたりし
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
少年しょうねんは、うみをながめていました。青黒あおぐろ水平線すいへいせんは、うねりうねっていました。それはちょうど、一れんとお山脈さんみゃくるようにおもわれたのです。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
青年せいねんは、今日きょうもまた空想くうそうにふけりながら、おきをながめていました。ふと、その口笛くちぶえまって、ひとみ水平線すいへいせんの一てんに、びょうのように、ちつけられたのです。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それこそ、ものすごい水平線すいへいせんうえを、くろ海坊主うみぼうずが、おおまたにあるいているかもしれぬとおもわれたのです。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、つぎには、紫色むらさきいろ水平線すいへいせんのもりがるうみえました。どこか他国たこくみなとから、たくさんの貨物かもつをつんできたのであろうか、汽笛きてきをならして、はいってきたふねがあります。
心は大空を泳ぐ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるなつ午後ごご外国人がいこくじんは、遠眼鏡とおめがねおきほうていました。すると、あちらの水平線すいへいせんおおきなくろふねとおるのでした。それは、一目ひとめで、このくにふねでないことがわかりました。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
とお水平線すいへいせんは、くろく、くろく、うねりうねって、られました。そら血潮ちしおのようにめて、あか夕日ゆうひは、いくたびか、なみあいだしずんだけれど、若者わかものふねは、もどってきませんでした。
海のまぼろし (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、海辺うみべって、はるかな水平線すいへいせんをながめて、ハーモニカをきました。
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
うみうえでは、なみがあって、なみはなぎさへおしよせて、いわにくだけ、しぶきはたまのごとくとびちり、とお水平線すいへいせんは、縹渺ひょうびょうとして、けむるようにかすみ、しろとりが、砂浜すなはまれをなしてあそんでいるのを
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)