横合よこあひ)” の例文
そのときりて小鳥ことりをびつくりさせるものは、きふ横合よこあひから飛出とびだ薄黒うすぐろいものと、たか羽音はおとでもあるやうなプウ/\うなつておとです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
牛蒡ごばうもうつかりしてなはしばつてけちや、其處そこからくされがへえつてひでえもんだな、わらぽどきれえだとえんのさな」勘次かんじ横合よこあひからいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其處そこへあの、めす黒猫くろねこが、横合よこあひから、フイとりかゝつて、おきみのかいたうた懷紙ふところがみを、後脚あとあしつてて前脚まへあしふたつで、咽喉のどかゝむやうにした。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それだのに、梅子はつゞけて、同じ問題にいて、甲の役者はうだの、乙の役者はなんだのと評しした。代助は又あによめが論理をはづしたと思つた。仕方がないから、横合よこあひから
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
どう云ふ風にして、私の魂を入れ替へられるのか、その方法に就いて、私は質問をしようとしたが、この時、リード夫人が横合よこあひからくちばしを入れて、私に坐るようにと云つて、自分一人で話をすゝめた。
横合よこあひから飛出とびだした薄黒うすくろいものは、鳥屋とやひと竹竿たけざをさきについたふる手拭てぬぐひなにかのきれでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あつぼつてえつていま蒲團ふとんめえとつたところなんだよ」おつぎは横合よこあひからいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やがて、とろ/\の目許めもとを、横合よこあひから萌黄もえぎいろが、蒼空あをぞらそれよりく、ちらりとさへぎつたのがある。けだ古樹ふるき額形がくがた看板かんばんきざんだ文字もじいろで、みせのぞくと煮山椒にざんせうる、これも土地とち名物めいぶつである。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)