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朴
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ほお
ふりがな文庫
“
朴
(
ほお
)” の例文
大きな五つ紋の
黒羽織
(
くろばおり
)
に白っぽい
鰹魚縞
(
かつおじま
)
の
袴
(
はかま
)
をはいて、桟橋の板を
朴
(
ほお
)
の
木下駄
(
きげた
)
で踏み鳴らしながら、ここを
先途
(
せんど
)
とわめいていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
三つの石は即席の
釜戸
(
かまど
)
だったのである。りつ子は
朴
(
ほお
)
の木の葉も洗って持って来て、その上へもろこし餅をのせて彼に渡した。
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
白雪の飛ぶ中に、
緋鯉
(
ひごい
)
の背、真鯉の
鰭
(
ひれ
)
の紫は美しい。梅も松もあしらったが、大方は
樫槻
(
かしけやき
)
の大木である。
朴
(
ほお
)
の
樹
(
き
)
の二
抱
(
かか
)
えばかりなのさえすっくと立つ。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
洋燈
(
らんぷ
)
の
載
(
の
)
った
朴
(
ほお
)
の大きな机の上には、明星、文芸倶楽部、万葉集、一葉全集などが乱雑に散らばって置かれてある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
主屋と離れ、崖の中腹に、懸け作りになっている
別館
(
はなれ
)
が一棟、桜や椿や
朴
(
ほお
)
の木に囲まれ、寂然として立っていた。
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
そう言われて、私は漸っと他の
楢
(
なら
)
や
櫨
(
はぜ
)
の木の葉なんぞのよりも、目立って大きい若葉を見て、一目でそれが
朴
(
ほお
)
の木の葉であることを思い出した。でも私は
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
長さ九寸、
朴
(
ほお
)
の木で作ったヒョロヒョロの矢ですから、他の場所に当ったんでは、大した業もしなかったでしょうが、眼玉を射ただけに、これは厄介です。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
崖の樹木は水をすう化鳥の形に押し合って青暗い淵のうえに頸をのばしている。ふと見れば汀からのりだした
朴
(
ほお
)
の木の枝にひとりの女が腰をかけて一心に
釣
(
つり
)
をしている。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
朴
(
ほお
)
の一種だそうです。この花も
五月闇
(
さつきやみ
)
のなかにふさわなくはないものだと思いました。然しなんと云っても堪らないのは梅雨期です。雨が続くと私の部屋には湿気が充満します。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
山里も
朴
(
ほお
)
、
栃
(
とち
)
、すいかずらの花のころはすでに過ぎ去り、
山百合
(
やまゆり
)
にはやや早く、今は
藪陰
(
やぶかげ
)
などに顔を見せる
蕺草
(
どくだみ
)
や谷いっぱいに香気をただよわす
空木
(
うつぎ
)
などの季節になって来ている。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
奥平沢から片貝川の水を引き入れて、此処で落差百尺の水力を利用するのだそうな。前平沢の人家が
朴
(
ほお
)
の木や
橡
(
とち
)
の木の間にまばらに見える。田なども少しはあるが、如何にも寒村である。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
寺の地面うちだけでも、松、杉、
楓
(
かえで
)
、
銀杏
(
いちょう
)
などの外に、
椎
(
しい
)
、
樫
(
かし
)
、榎、
椋
(
むく
)
、
橡
(
とち
)
、
朴
(
ほお
)
、
槐
(
えんじゅ
)
などの大木にまじって、桜、梅、桃、
李
(
すもも
)
、ゆすらうめ、栗、
枇杷
(
びわ
)
、柿などの、季節季節の花樹や果樹があった。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
白い地面に、広い葉の青いままでちらばって居るのは、
朴
(
ほお
)
の木だ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
庭の
砂
(
いさご
)
は金銀の、雪は凍った、草履で
可
(
よし
)
、……
瑠璃
(
るり
)
の
扉
(
とぼそ
)
、と戸をあけて、
硨磲
(
しゃこ
)
のゆきげた
瑪瑙
(
めのう
)
の橋と、悠然と出掛けるのに、飛んで来たお使者は
朴
(
ほお
)
の木歯の
高下駄
(
たかあしだ
)
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その周囲をかこんでいるのは、
榎
(
えのき
)
や
槻
(
つき
)
や
朴
(
ほお
)
の巨木で、数百年を
閲
(
けみ
)
しているらしかった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は玄関脇の
朴
(
ほお
)
の木の枝に
凧
(
たこ
)
をひっかけたので、それを破らないように取ろうとしていたのであるが、眼下の老人の正々堂々たる怒り声と、その怒りのために赤くなった顔を見て
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それを繼弓にして、
金襴
(
きんらん
)
の袋などに入れた、贅澤な道具を持つた旦那衆が、美しく彩色を施した九寸の
朴
(
ほお
)
の木の矢で、七間半の距離から三寸の的を射て、その當りを競つて樂しんだのです。
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それでももう彼のそばには、お民のふところへ子供らしい手をさし入れて、
乳房
(
ちぶさ
)
を探ろうとする宗太がいる。
朴
(
ほお
)
の葉に包んでお民の与えた熱い
塩結飯
(
しおむすび
)
をうまそうに
頬張
(
ほおば
)
るような年ごろのお
粂
(
くめ
)
がいる。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その谷かげで見つけた
朴
(
ほお
)
の木の花が急に鮮かに浮んで来た。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それを
継弓
(
つぎゆみ
)
にして、
金襴
(
きんらん
)
の袋などに入れた、
贅沢
(
ぜいたく
)
な道具を持った旦那衆が、美しく彩色を施した九寸の
朴
(
ほお
)
の木の矢で、七間半の距離から三寸の的を射て、その当りを競って楽しんだのです。
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なにかの
濾過
(
ろか
)
や炭素の分解などに使うらしい、よくはわからないが、それで焼きかげんにちょっとくふうがあるんだな、
朴
(
ほお
)
の木がいちばんいいらしい、ぼくは朴の木だけを使ってるんですがね
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
面小手で
竹刀
(
しない
)
を
引担
(
ひっかつ
)
いでお前、稽古着に、小倉の
襠高
(
まちだか
)
か何かで、
朴
(
ほお
)
の木歯を
引摺
(
ひきず
)
って、ここの内へ通っちゃ、引けると仲之町を縦横十文字に
鳴
(
なら
)
して歩いた。ここにおわします色男も鳴すことその通り。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朴
常用漢字
中学
部首:⽊
6画
“朴”を含む語句
質朴
厚朴
素朴
朴歯
淳朴
抱朴子
朴木齒
朴訥
朴念仁
醇朴
純朴
朴直
粗朴
古朴
朴々
朴実
簡古素朴
朴泳孝
貞介朴実
伊東玄朴
...