本来ほんらい)” の例文
旧字:本來
らに奇怪きかいなりしは仏国公使の挙動きょどうにして本来ほんらいその事件には全く関係かんけいなきにかかわらず、公然書面を政府に差出さしいだ
その本来ほんらいのお姿すがたしろひかったたまかたちでございますが、ほど真剣しんけん気持きもちふか統一状態とういつじょうたいはいらなければ、わたくしどもにもそのお姿すがたはいすることはできませぬ。
本来ほんらい好心すきごゝろ可加減いゝかげん慈悲じひぢやとか、なさけぢやとかいふにつけて、一やまかへりたかんべい、はてかつしやい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
本来ほんらい蛾次郎がじろうは泣いてもえてもここでその首を、侠党きょうとうにもらわれなければならないのであるが、独楽こま由来ゆらいの話から、いくぶんそのじょう酌量しゃくりょうされて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本来ほんらいならば、外務省とか民間団体から、大ぜいの出むかえがあるはずですが、明智はそういうぎょうぎょうしいことが大きらいでしたし、探偵という職業上
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
うもみなさん遠方ゑんぽうところ誠に有難ありがたぞんじました、本来ほんらいならば強飯おこはかおすしでもげなければならないんですが、御承知ごしようちとほりの貧乏葬式びんばふどむらひでげすから、恐入おそれいりましたがなに差上さしあげませぬ
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
父母未生ふぼみしょう以前いぜん本来ほんらい面目めんもくなんだか、それを一つ考えて見たらかろう」
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いかに人はかれこれいうともおのれさえ道を蹈むことをおこたらずば、何の策をろうせずとも、いつの間にか黒白こくびゃく判然するものである。要は「本来ほんらい清浄せいじょう」を守るにある。さすれば人為人工を用うるに及ばぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
本来ほんらい無東西むとうざい
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もっともこのたまかたちは、じっとおしずまりあそばしたとき本来ほんらいのお姿すがたでございまして、一たんおはたらきかけあそばしました瞬間しゅんかんには、それぞれことなった、にも神々こうごうしい御姿おすがたにおかわあそばします。
「何者だなんて、生意気なまいきをいうまえに、おじさんこそ、何者だかいうのが本来ほんらいだよ。おいらはこの山に住んでる者だし、おじさんはだまって、人の山へはいってきた風来人ふうらいじんじゃないか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
答『これはいかにも無理むり質問といじゃ。本来ほんらいこちらの世界せかい年齢ねんれいはないのじゃから……。が、人間にんげん年齢ねんれいなおしてたら、はっきりとはわからぬが、およそそ五六百年位ねんぐらいのところであろうか……。』