有難ありがて)” の例文
長「何分頼むよ、おめえのお蔭でくわしい事が知れて有難ありがてえ……ムヽそうだ、婆さん、お前その、長左衛門の先祖の墓のある寺を知ってるか」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「なあに、どうせ、退屈している俺だもの、俺の方が、まぎらわしてもらって、有難ありがてえくれえなもんだ。……よしかね、そうら」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なアに、こっちが勝手なんで、有難ありがてえな。ト、ト、ト、散ります散りますと来やがる。へッ、へッ、い色をしているぜ」
さぶは考えてみてから首を振った、「だめだ、そう思ってくれるのは有難ありがてえが、おら、おめえの重荷になるばかりだ」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
スモレット船長という立派な海員けえいんがいて、この有難ありがてえ船を己たちのために動かしてくれる。あの大地主と医者の奴が地図やなんぞを持っていてくれる。
有難ありがてえ、図星という処へ出て来たぜ。が、同じ事を、これ、(旦那衆戻り馬乗らんせんか、)となぜ言わぬ。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
有難ありがてえなあ、夢のようだ! 稼ぐぜ稼ぐぜ、そうなったひにゃア。……ところでどっちへ行こうかね」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
先日の有難ありがてえお言葉にてえして、わしも、どういうふうに返事を申し上げていいかわからねえので、何とも申し上げねえのでございますが、どうも旦那の思召しが有難え上に
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
半「有難ありがてえ、成程これを持ってけば大丈夫だ、時に彼処あすこへ夜這入へえるには何処から這入へえるか隠れて出這入でへえりする処は何処だえ」
「俺たちの頼みを、兄哥が忘れずにいてくれたのは有難ありがてえが、どうもそいつあちょっと二の足を踏みますぜ……」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そいつは有難ありがてえ、俺は溜飲りゅういんを下げたくてウズウズしているんだ。あの悪党親子の前でフンぞり返らしてくれるなら、命なんか二つ三つ投げ出してもいい」
「君は元気よく言ってくれた。で、有難ありがてえ! 己に助かる見込が一つ出来た訳だ。」
そう思ってくれるのは有難ありがてえだがね、これはそんなむずかしい理屈でやっているわけじゃねえだよ、ただ悪いがきどもが来ちゃ船をよごすだ、黒いペンキをなすくったり泥を塗りつけたりよ
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
有難ありがてえ、勧進帳を旅先で見られるなんぞは、開け行く世の有難さとでもいうんだろう、江戸ッ児も江戸ッ児、市川宗家エド蔵の勧進帳、こいつを見のがした日には江戸ッ児の名折れになる」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ワーッ、有難ありがてえ、よく見えらあ」
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
赤飯おこはうれしいな、じつ今日けふなんだ、山下やましたとほつた時、ぽツ/\と蒸気けむつてたからひてえと思つたんだが、さうか、其奴そいつ有難ありがてえな、すぐはう。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
有難ありがてえ、親分に金を貸すのは生れて始めてだ、大判や小判はねえが、穴のあいたのならうんとあるぜ」
そう思ってくれるのは有難ありがてえだがね、これはそんなむずかしい理屈でやっているわけじゃねえだよ、ただ悪いがきどもが来ちゃ船をよごすだ、黒いペンキをなすくったりどろを塗りつけたりよ
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
塚があるだろ? 俺は時々ここへ来てお祈りをするんさ。多分今日きょうあたりは日曜だろうと思った時にね。それぁなるほど礼拝堂じゃねえさ。だけど、この方がよっぽど有難ありがてえような気がしたよ。
「ふーん、日本の絹がそんなにあいつらには有難ありがてえのか」
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そうかい、世間様は、有難ありがてえもんだな」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亥「おいよ、有難ありがてえ、己は弱い者いじめは嫌いだが食逃と云ったから撲ったのだ、商売の妨げをして済まねえがあとで訳を付ける積りだ、おめえ誰だっけ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有難ありがてえ。今日の道灌山はうんと人出があるから、何か面白いことがあるような気がしてならねえ」
「うむ、有難ありがてえ」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
手前に逢わねえじゃア病に障るからもれえてえと云う訳だ、有難ありがてえ、好い女房かゝあを持つのだ、手前運が向いて来たのだ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有難ありがてえ、錢形の。お陰で一日のうちに埒が明いてしまつた。いづれそのうちに禮に行くぜ」
鳶「や、粂どん……まアかった、はあ…おめえに怪しい事があれば何所どっかへ逃げちまうんだが、ちゃんと此処こゝに居てくれたんでまア宜かった、あゝ有難ありがてえ」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有難ありがてえ、銭形の。お蔭で一日のうちにらちが明いてしまった。いずれそのうちに礼に行くぜ」
其の槍で突殺すという心根が有難ありがてえもんでがんすねえ、旦那さま槍で横っ腹をさゝられる心持は一通りでは有りやすめえが、始終槍で突かれている気で働けば
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そいつは有難ありがてえ。親分を居候に置いたとあれば、あっしも肩身が広い」
角「お前方めえがたは年がわけえからいまだいくらも子が出来るよ、おらア四十二歳になるが、いまだに子がねえから、斯ういう子を貰ってけば、こんな有難ありがてえ事はねえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「へッ、有難ありがてえことに、今度はガラ抜きと来たね、何です親分」
角「有難ありがてえな、それではお達者で、また此地こっちの田舎のおとっさんのうちの方へも来て逢う事がありやすべえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そいつは有難ありがてえ、それじゃ御意ぎょいの変らぬうちに——」
実に此処でお目に懸るたア有難ありがてえね、もし今もね兼ちゃんがお祖師様を拝むのを傍で聞いてましたが
有難ありがてえ、それで頼まれ甲斐があったというものだ」
勘「はい/\有難ありがてえ/\、それを聞けばすぐに死んでもい、ヤア、有難えねえ、サア死にましょうか、唯死度しにたくもねえが、松魚かつおの刺身であったけえ炊立たきたてまんまべてえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有難ありがてえ。それであっしの顔が立つというものだ」
庄「やア、こりゃア有難ありがてえ、これと云うのも信心のお蔭だ、なんしろあかを掻かざアなるめえ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それなら有難ありがてえが。——相変らずのピイピイで」
作「わしもヤアぶち出しにくかったが、お前様めえさまが承知なら頼まれげえが有って有難ありがてえだ、うなればわしイ及ばずながら媒妁なこうどする了簡だ、それじゃア大丈夫だろうネ、仔細しせええね」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有難ありがてえ、それじゃ任せて下さるんだね、親分」
喜「へえ、誠に有難ありがてえことで、はじまりは心配して居りました、し貴方に怪我でもあらば仕様がねえから飛出そうと思ってやしたが、此の通りおっぬまで威張りアがって野郎」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有難ありがてえ、そう来なくちゃ——」
親の慈悲だからまだしも此の畳の上で、お父さまの形見の脇差で斬殺きりころして遣るから、有難ありがてえと思っておっんでしまえ……ヤア、おっ死んでしまえ……ヤア、おっ死んでしまえ
有難ありがてえ、それじゃ親分」
林「へえ有難ありがてえ是れは……ひえ頂戴えたしやす……有難え、まアまるで夢見たような話だという事さ、おけくさん本当にお前さん、私が此処こゝへ奉公に来た時から、ほんに思って居るよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そいつは有難ありがてえ」
鳶「そりゃア有難ありがてえ、なるたけ大勢の方がようがす、じゃアすぐに行っておくんなせえ」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有難ありがてえ、親分」