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攀上
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よじのぼ
ふりがな文庫
“
攀上
(
よじのぼ
)” の例文
其の湯気の
頼母
(
たのも
)
しいほど、
山気
(
さんき
)
は寒く薄い
膚
(
はだ
)
を
透
(
とお
)
したのであつた。
午下
(
ひるさが
)
りに
麓
(
ふもと
)
から
攀上
(
よじのぼ
)
つた時は、其の癖
汗
(
あせ
)
ばんだくらゐだに……
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
少数の人はそこからまた新しい上り坂に取りつきあるいはさらに失脚して再び
攀上
(
よじのぼ
)
る見込のない深坑に落ちるのであろうが
厄年と etc.
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼女
(
かれ
)
は
裳
(
すそ
)
を高く
褰
(
かか
)
げて、
足袋跣足
(
たびはだし
)
で歩いた。何を云うにも
暗黒
(
くらがり
)
で
足下
(
あしもと
)
も判らぬ。
剣
(
つるぎ
)
なす岩に踏み懸けては滑り
墜
(
お
)
ち、
攀上
(
よじのぼ
)
っては
転
(
まろ
)
び落ちて、手を
傷
(
きずつ
)
け、
脛
(
はぎ
)
を痛めた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
崖
(
がけ
)
や岩に
攀上
(
よじのぼ
)
るとき、お六は決って下から手を差伸べ、少し甘い調子で救いを求めます。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
殆
(
ほとんど
)
そのまゝ所持致をり候事故、当山の御厄介に相なり候に付いては、またもやその
隠
(
かくし
)
場所に困りをり候処、唯今にても当寺
表惣門
(
おもてそうもん
)
の
旁
(
かたわら
)
に立ちをり候
榎
(
えのき
)
の大木に目をつけ、
夜中
(
やちゅう
)
攀上
(
よじのぼ
)
り
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
其の葉の隙から時々白く、殆ど銀の
斑点
(
はんてん
)
の如く光って見える空。地上にも所々倒れた巨木が道を拒んでいる。
攀上
(
よじのぼ
)
り、垂下り、絡みつき、
輪索
(
わな
)
を作る
蔦葛
(
つたかずら
)
類の
氾濫
(
はんらん
)
。
総
(
ふさ
)
状に盛上る蘭類。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
例の不動尊の画像は刀でも差すように、腰へしっかと
挿
(
はさ
)
んで、藪の中にある大木へ
攀上
(
よじのぼ
)
りました。その大木の上から見下ろすと、鈴喜の家の庭から、開け放した間取りまでが手に取るようです。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
伸子は大丸を出る時、娘づれの親切な紳士に貰った杖を突いて、手間どって登った。やっと頂上が見えた。その前にもう一つ急な
攀上
(
よじのぼ
)
りがある。伸子は汗だくだくになって、その手前で立ち止った。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
取縋
(
とりすが
)
る松の枝の、海を分けて、
種々
(
いろいろ
)
の波の調べの
懸
(
かか
)
るのも、人が縋れば根が揺れて、
攀上
(
よじのぼ
)
った
喘
(
あえ
)
ぎも
留
(
や
)
まぬに、汗を
冷
(
つめと
)
うする風が絶えぬ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
するする
攀上
(
よじのぼ
)
って、長船のキラリとするのを死骸から抜取ると、
垂々
(
たらたら
)
と
湧
(
わ
)
く
血雫
(
ちしずく
)
を逆手に
除
(
と
)
り、山の
端
(
は
)
に腰を掛けたが、はじめて
吻
(
ほっ
)
と一息つく。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かほどの処を
攀上
(
よじのぼ
)
るのに、あえて
躊躇
(
ちゅうちょ
)
するのではなかったが、ふとここまで来て、出足を
堰止
(
せきと
)
められた
仔細
(
しさい
)
がある。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三ツばかり谷へ下りては
攀上
(
よじのぼ
)
り、下りては攀上りした時は、ちと心細くなった。
昨夜
(
ゆうべ
)
は野宿かと思ったぞ。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真紅
(
まっか
)
な椿も、濃い霞に包まれた、
朧
(
おぼろ
)
も暗いほどの土塀の
一処
(
ひとところ
)
に、石垣を
攀上
(
よじのぼ
)
るかと
附着
(
くッつ
)
いて、……つつじ、藤にはまだ早い、——荒庭の中を
覗
(
のぞ
)
いている——
絣
(
かすり
)
の筒袖を着た
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ト
突出
(
つきだし
)
た
廂
(
ひさし
)
に額を打たれ、
忍返
(
しのびがえし
)
の釘に眼を刺され、
赫
(
かっ
)
と血とともに
総身
(
そうしん
)
が熱く、たちまち、罪ある蛇になって、
攀上
(
よじのぼ
)
る石段は、お七が火の見を駆上った思いがして、
頭
(
こうべ
)
に
映
(
さ
)
す太陽は
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
縋
(
すが
)
りついて
攀上
(
よじのぼ
)
るように、雪の山を、雪の山を、ね、貴方、お月様の御堂を
的
(
あて
)
に、氷に
辷
(
すべ
)
り、雪を抱いて来なすって、伏拝んだ御堂から——もう
高低
(
たかひく
)
はありません、一面
白妙
(
しろたえ
)
なんですから。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
環海ビルジング——帯暗
白堊
(
はくあ
)
、五階建の、ちょうど、昇って三階目、空に
聳
(
そび
)
えた滑かに巨大なる
巌
(
いわお
)
を、みしと切組んだようで、
芬
(
ぷん
)
と湿りを帯びた階段を、その上へなお
攀上
(
よじのぼ
)
ろうとする廊下であった。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
窓へ、や、えんこらさ、と
攀上
(
よじのぼ
)
った若いものがある。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
攀
漢検1級
部首:⼿
19画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“攀”で始まる語句
攀
攀登
攀昇
攀援
攀ち
攀慕
攀躋
攀木
攀柳
攀緑