掻込かつこ)” の例文
足袋たび穿かぬあしかふさめかはのやうにばり/\とひゞだらけにつてる。かれはまだらぬ茶釜ちやがまんでしきりにめし掻込かつこんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
くだいてへば、夜逃よにげ得手えてでも、朝旅あさたび出來できない野郎やらうである。あけがた三時さんじきて、たきたての御飯ごはん掻込かつこんで、四時よじ東京驛とうきやうえきなどとはおもひもらない。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
己れは知りながら逃げてゐたのでは無い、飯を掻込かつこんで表へ出やうとするとお祖母さんが湯に行くといふ、留守居をしてゐるうちの騒ぎだらう、本当ほんとに知らなかつたのだからねと
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鹽尻の茶店ちやゝの爐に暖まり温飩うどん掻込かつこみながら是よりなら井まで馬車一輛雇ふ掛合を始む直段ねだん忽ち出來たれど馬車を引來らず遲し/\と度々たび/\の催促に馬車屋にてはやがてコチ/\とこはれ馬車を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
へい/\有難ありがたぞうじます、何卒どうぞ頂戴致ちやうだいいたしたいもので。姫「少々せう/\ひかへてや。「へい。あはてゝ一ぱい掻込かつこみ、何分なにぶん窮屈きうくつたまらぬからあはつて飛出とびだしたが、あま取急とりいそいだので莨入たばこいれ置忘おきわすれました。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでも、げつそりいたはらしるかけめしで五ぜんふもの厚切あつぎり澤庵たくあんでばり/\と掻込かつこんだ。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れはりながらげてたのではい、めし掻込かつこんでおもてやうとするとお祖母ばあさんがおくといふ、留守居るすゐをしてるうちのさわぎだらう、本當ほんたうらなかつたのだからねと
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)