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愚癡
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ぐち
ふりがな文庫
“
愚癡
(
ぐち
)” の例文
新字:
愚痴
教化せんとするがなお不足である。法性寺の空阿弥陀仏は
愚癡
(
ぐち
)
であるけれども、念仏の大先達として普く化道が広い。わしが若し人身を
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかも彼はこれに愚の字を加えて自己の号としたのである。愚は
愚癡
(
ぐち
)
である。すでに禿の字はもと破戒を意味している。
親鸞
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
松洛は長生きをして「妹脊山」をかく頃までは私の後見をしてくれたが、それも既うこの世にはゐない。いや、そんな
愚癡
(
ぐち
)
を云つても始まらない。
近松半二の死
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
年紀
(
とし
)
は
少
(
わか
)
し……
許嫁
(
いひなづけ
)
か、
何
(
なに
)
か、
身
(
み
)
に
替
(
か
)
へて
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
でも、
入院
(
にふゐん
)
して
居
(
ゐ
)
て、
療治
(
れうぢ
)
が
屆
(
とゞ
)
かなかつた
所
(
ところ
)
から、
無理
(
むり
)
とは
知
(
し
)
つても、
世間
(
せけん
)
には
愚癡
(
ぐち
)
から
起
(
おこ
)
る、
人怨
(
ひとうら
)
み。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
何
(
ど
)
うしませう」と
啜
(
すゝ
)
り
泣
(
な
)
いた。
宗助
(
そうすけ
)
は
再度
(
さいど
)
の
打撃
(
だげき
)
を
男
(
をとこ
)
らしく
受
(
う
)
けた。
冷
(
つめ
)
たい
肉
(
にく
)
が
灰
(
はひ
)
になつて、
其灰
(
そのはひ
)
が
又
(
また
)
黒
(
くろ
)
い
土
(
つち
)
に
和
(
くわ
)
する
迄
(
まで
)
、
一口
(
ひとくち
)
も
愚癡
(
ぐち
)
らしい
言葉
(
ことば
)
は
出
(
だ
)
さなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
彼
(
かれ
)
は
野田
(
のだ
)
へ
行
(
い
)
けば
比較的
(
ひかくてき
)
に
不自由
(
ふじいう
)
のない
生活
(
せいくわつ
)
がして
行
(
い
)
かれるので
汝等
(
わつら
)
が
厄介
(
やくかい
)
には
成
(
な
)
らねえでも
俺
(
おれ
)
はまだ
立
(
たつ
)
て
行
(
い
)
かれると、
恁
(
か
)
うして
哀愁
(
あいしう
)
に
掩
(
おほ
)
はれた
心
(
こゝろ
)
の一
方
(
ぱう
)
には
老人
(
としより
)
の
僻
(
ひが
)
みと
愚癡
(
ぐち
)
とが
起
(
おこ
)
つたのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
何事ぞ、この未熟、
蒙昧
(
もうまい
)
、
愚癡
(
ぐち
)
、無知のから
白癡
(
たわけ
)
、二十五座の狐を見ても、小児たちは笑いませぬに。なあ、——
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「聖道門の修行は、智恵をきわめて生死を離れ、浄土門の修行は
愚癡
(
ぐち
)
にかえりて極楽に生ると心得らるるがよし」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
欽吾がもう少し面白くしてくれれば好いと藤尾にも不断申しているんでございますが——それもこれもみんな
彼人
(
あれ
)
の病気のせいだから、今さら
愚癡
(
ぐち
)
をこぼしたって仕方がないとは思いますが
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実に、
寸毫
(
すんごう
)
といえども意趣遺恨はありません。けれども、未練と、
執着
(
しゅうぢゃく
)
と、
愚癡
(
ぐち
)
と、卑劣と、悪趣と、
怨念
(
おんねん
)
と、もっと
直截
(
ちょくせつ
)
に申せば、狂乱があったのです。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「我はこれ
烏帽子
(
えぼし
)
もきざる男なり。十悪の法然房
愚癡
(
ぐち
)
の法然房が。念仏して往生せんと云うなり」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし、こゝで
私
(
わたし
)
は
初戀
(
はつこひ
)
、
片
(
かた
)
おもひ、
戀
(
こひ
)
の
愚癡
(
ぐち
)
を
言
(
い
)
ふのではありません。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
愚
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
癡
部首:⽧
19画
“愚”で始まる語句
愚
愚痴
愚弄
愚昧
愚鈍
愚図愚図
愚図
愚物
愚図々々
愚者