平然へいぜん)” の例文
「そんだかられ、わらつちやえかねえつてつたんだな、それかねえから」かね博勞ばくらうわざ平然へいぜんとしてつた、うしてがみ/\いふこゑ錯雜こぐらかつたとき
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
艦長松島海軍大佐かんちやうまつしまかいぐんたいさ此時このときちつともさはがず、平然へいぜんとして指揮しきする信號しんがうことば信號兵しんがうへいめいほうじて信號旗しんがうきたかかゝげた。
こうした社会しゃかい、こうした現実げんじつるとき、かれは、ひとのごとく、平然へいぜんたることができなかったのです。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人しゅじんは、まあまあとことばしずかにふたりをせいした。秋のゆくというさびしいこのごろ、無分別むふんべつな若ものと気ちがいとのあらそいである。主人はおぼえずぶるいをした。花前はなまえ平然へいぜんたるもので
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
キシさんは平然へいぜんと答えました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
四邊あたり部室へやでは甲乙たれかれかたこゑかまびすしく、廊下ろうかはしひと足音あしおともたゞならずはやい、濱島はまじまむかしから沈着ちんちやくひとで、何事なにごとにも平然へいぜんかまへてるからそれとはわからぬが
しほがくつゝいてつからしほ目方めかたもあんぞ」勘次かんじそばからいつてわらつた。商人あきんど平然へいぜんとしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
左舷さげん當番たうばん水夫すゐふいまたしか星火せいくわほとばしり、火箭くわせん慘憺さんたんたる難破船なんぱせん信號しんがうみとめてるには相違さうゐないのだが、何故なぜ平然へいぜんとしてどうずるいろもなく、籠手こてかざして其方そなたながめてるのみ。