巨人きよじん)” の例文
それで巨人きよじんせた西風にしかぜその爪先つまさきにそれを蹴飛けとばさうとしても、おそろしく執念深しふねんぶか枯葉かれはいてさうしてちからたもたうとする。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さうして、其くもみねをよく見ると、真裸まはだか女性によせう巨人きよじんが、かみみだし、身をおどらして、一団となつて、れ狂つてゐるやうに、うまく輪廓をらした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
雨戸あまどをさすもなく、いままでとほくのはやしなかきこえてゐたかぜおとは、巨人きよじんの一あふりのやうにわれにもないはやさでかけて、そのいきほひのなかやまゆきを一んでしまつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
巨人きよじん椅子いす」と云う岩のある山、——またたかない顔が一つ見える。
軽井沢で (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
聞け、大いなる黒金くろがね巨人きよじんの指は
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
空から落ちた神話しんわ巨人きよじん
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
ねぶりたる巨人きよじんならずや
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
其處そこには毎日まいにちかなら喧嚚けんがう跫音あしおとひと鼓膜こまくさわがしつゝある巨人きよじん群集ぐんじゆが、からは悲慘みじめ地上ちじやうすべてをいぢめて爪先つまさき蹴飛けとばさうとして、山々やま/\彼方かなたから出立しゆつたつしたのだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
巨人きよじんのごともうなづきて
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ねぶりたる巨人きよじんらず
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
田圃たんぼとほしてはやしあひだからえるそのとほ山々やま/\くもやゝうすくなつてそらにごしてた。やが雜木林ざふきばやし枝頭えださきすこうごいたとおもつたらごうつといふひゞき勘次かんじみゝつた。巨人きよじんあしせまつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)