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尤
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もつとも
ふりがな文庫
“
尤
(
もつとも
)” の例文
又盲僧・
瞽女
(
ごぜ
)
の芸、性欲の殊に穢い方面を誇張した「身ぶり芸」も行はれた事が知れる。
尤
(
もつとも
)
、まじめな曲舞なども交つてゐたに違ひない。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
それ程でなくつても、
父
(
ちゝ
)
と
兄
(
あに
)
の財産が、彼等の脳力と手腕丈で、
誰
(
だれ
)
が見ても
尤
(
もつとも
)
と認める様に、
作
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げられたとは
肯
(
うけが
)
はなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然ニ今日
木圭
(
木戸孝允
)
より一紙相達候間、御覧に入候。同人事は御国の情ニ
能
(
よく
)
通じ居り候ものにて、彼初強く後、女の如などは
尤
(
もつとも
)
吾病にさし当り申候。
手紙:094 慶応三年八月二十六日 佐々木高行あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
紙の上で読んで見たときは
尤
(
もつとも
)
らしく思はれたが、この水底の
雷霆
(
らいてい
)
を聞きながら考へて見ると、そんな理窟は馬鹿らしくなつてしまふのである。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
生意氣にもあたしは、おお
尤
(
もつとも
)
だと思つた。姪や甥の乳母のやうに、抱いたり背負つたりして暮してゐる彼女を、日頃いとしいと思つてゐたので
日本橋あたり
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
汲み上げた水が恐ろしく泥臭いのも
尤
(
もつとも
)
、
錨
(
いかり
)
を下ろして見たら、渇水の折からでもあらうが、水深が一尺とはなかつた。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
尤
(
もつとも
)
棺の幅を非常に狭くして死体は棺で動かぬようにして置けば花でつめるというのは日本のおが屑などと違ってほんの愛嬌に振撒て置くのかも知れん。
死後
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
それからもう一人、主人大坪石見の
甥
(
をひ
)
で、宇佐川鐵馬といふ
尤
(
もつとも
)
らしい四十男が、小峰右内の手傳ひをして、十年越し此屋敷の
掛
(
かゝ
)
り
人
(
うど
)
になつて居ります。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
決而可伺儀
(
けつしてうかゞふべきぎ
)
に
而者無之候
(
てはこれなくさふら
)
へ共、右殺害に及候者より差出し候書附にも、天主教を天下に
蔓延
(
まんえん
)
せしめんとする
奸謀之由申立
(
かんぼうのよしまうしたて
)
有之、
尤
(
もつとも
)
、此書附
而已
(
のみ
)
に候へば
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それはもうお前の言ふのは
尤
(
もつとも
)
だけれど、お前と
阿父
(
おとつ
)
さんとは
全
(
まる
)
で
気合
(
きあひ
)
が違ふのだから、万事
考量
(
かんがへ
)
が別々で、お前の言ふ事は阿父さんの
肚
(
はら
)
には入らず、ね
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
世間でアンドレイ・アレクサンドロヰツチユをロシアのド・ミユツセエだと云ふのが
尤
(
もつとも
)
なら、妻はロシアのユウジエニイ・ツウルだと云はれなくてはならん。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
尤
(
もつとも
)
当時の己の意識は此驚きをもはつきり領略してはゐなかつたが、兎に角己は驚いてゐたには違ひ無い。なぜと云ふに己は突然かう云ふことを聴き取つたのだ。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
なさるのは、
尤
(
もつとも
)
と思ひますわ。でも貴君迄が、それに
感化
(
かぶ
)
れると云ふことはないぢやありませんか。縁起などと、云ふ言葉は、現代人の辞書にはない字ですわね。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
それが今こんな上品な交際振りをする人と知合ひになつたのだから、喜ぶのも
尤
(
もつとも
)
である。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
せめて斯の際選挙の方に尽力して夫の
霊魂
(
たましひ
)
を慰めて呉れといふ。聞いて見れば未亡人の志も、
尤
(
もつとも
)
。いつそ
是
(
これ
)
は丑松を煩したい——一切の費用は自分の方で持つ——是非。とのことであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「いやはや。馬鹿気てゐない、
尤
(
もつとも
)
千万な事で、我々の少しも考へないでゐる事はいくらでもある。それに死がなんです。死ぬる時が来れば死ぬるさ。わたしなんぞは死ぬる事は頗る平気です。」
死
(新字旧仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
この一話、
操觚者流
(
さうこしやりう
)
の
寓意譚
(
ぐういたん
)
にあらず、永く西欧の史籍に載りて人の能く伝唱する所、唯これ一片の逸話に過ぎずと
雖
(
いへ
)
ども、
然
(
しか
)
も吾人に
誨
(
をし
)
ふる事甚だ深しとなす。
夫
(
そ
)
れ貧困は現世の不幸の
尤
(
もつとも
)
なる者也。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
同道致し遠州濱松へ罷越たる趣きに相違なきやと有に石川安五郎はハツト
平伏
(
へいふく
)
なし仰の如く私し妻の實家は遠州濱松天神町松島專庵と申町醫師に候間同人方へ參る心得にて同道仕り候
尤
(
もつとも
)
主人へは湯治仕つる旨屆け候て罷越たるに相違御座なくと申立たり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
尤
(
もつとも
)
文中の一部には、かなり古いものを含んだものもあるが、新しいものが最多くて、其上に、用語が不統一を極めてゐる。
神道に現れた民族論理
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
尤
(
もつとも
)
前便に申上候
通
(
とおり
)
、不幸なる境遇に居られし人なれば、同じ年頃の娘とは違ふ所もあるべき道理かと存じ候。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その落ち工合が丁度上から槍で衝いたやうであつたことを思ふと、此語源説が
愈
(
いよ/\
)
尤
(
もつとも
)
らしく聞えて来る。
十三時
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
それも、
誰
(
たれ
)
を
怨
(
うら
)
む訳も無い、全く自分が悪いからで、こんな
躯
(
からだ
)
に
疵
(
きず
)
の付いた者に大事の娘をくれる親は無い、くれないのが
尤
(
もつとも
)
だと、それは私は自分ながら思つてゐる
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
然し代助は此
尤
(
もつとも
)
を通り越して、気が
付
(
つ
)
かずにゐた。振り返つて見ると、
後
(
うしろ
)
の方に
姉
(
あね
)
と
兄
(
あに
)
と
父
(
ちゝ
)
がかたまつてゐた。自分も
後戻
(
あともど
)
りをして、
世間並
(
せけんなみ
)
にならなければならないと感じた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
尤
(
もつとも
)
和蘭
(
オランダ
)
コンシユル横浜ニ於て申立也と。
手紙:016 慶応元年九月七日 坂本権平、乙女、おやべあて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
尤
(
もつとも
)
、主人公として現れたおほくにぬしの名を、他の誰の名と取り換へても、さし支へはないわけである。
万葉びとの生活
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
當夏中より中風相煩歩行相成兼其上
甥
(
をひ
)
鎌作
(
かまさく
)
儀病身に付(中略)右傳次方私從弟定五郎と申者江跡式相續
爲仕度
(
つかまつらせたく
)
(中略)奉願候、
尤
(
もつとも
)
從弟儀
未
(
いまだ
)
若年に御座候に付右傳次儀後見仕
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
尤
(
もつとも
)
、飛鳥・藤原の知識で、皇室に限つて天上還住せしめ給ふことを考へ出した様である。
神
(
カム
)
あがりと言ふ語は、地の岩戸を開いて高天原に戻るのが、その本義らしい。
妣が国へ・常世へ
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「五日。晴。午後微雨。月給金受取。十二字揃、天富斎木石川出立す。
尤
(
もつとも
)
青森迄。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
尤
(
もつとも
)
、あゝした態度からは、わるい作物も生れないはずはない。けれども、忠岑はそうした処から、深く印象する歌を残したのだから、天分の豊かであつたことが思はれる。
短歌本質成立の時代:万葉集以後の歌風の見わたし
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
首
(
はじめ
)
に柏軒が書した。「
磐安
(
はんあん
)
曰。集まりし人より伝言左の如し。
尤
(
もつとも
)
各自筆なり。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
此側の伝へでは、淡路人形を重く見て居る。併し、西の宮が海に関係深い点から観るべきで、此神の勢力の下にあつた対岸の淡路の島人から、優れた上手が出たのも、
尤
(
もつとも
)
である。
国文学の発生(第二稿)
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「七日。(四月。)晴。棠軒と改名願書差出す。
尤
(
もつとも
)
当用内田養三取計。」所謂改名は道号を以て通称としようとしたのであらう。春安
信淳
(
のぶきよ
)
には棠軒、小棠軒、
谷軒
(
こくけん
)
、尚軒、
芋二庵
(
うじあん
)
の諸号があつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「忘れない様にと望んで……」と説くのが
尤
(
もつとも
)
らしいが、忘れる為のわすれ草を、印象的に第一に出して居る。其故「忘れない為に忘れようと思つて……」と言ふ義に極められるのである。
古代民謡の研究:その外輪に沿うて
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
此理を
能々
(
よく/\
)
御考
被為在
(
あらせられ
)
候而、
何卒
(
なにとぞ
)
非常回天之御処置を
以
(
もつて
)
、
魁
(
くわい
)
たる者も死一等を
免
(
ゆる
)
され、同志と申自訴者は一概に御赦免に相成候様と奉存候。
尤
(
もつとも
)
大罪に候へ共、朝敵に比例仕候へ
者
(
ば
)
、軽浅之罪と奉存候。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
尤
(
もつとも
)
、深さ・寛けさは欠けてゐるが、明るさは著しい。此作風もとりこまれた。
女房文学から隠者文学へ:後期王朝文学史
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
叙事詩に於て、ことばの部分が、威力の源と考へられたのは、呪言以来とは言へ、地の文の宗教的価値減退に対して、其短い抒情部分に、精粋の集まるものと見られたのは、
尤
(
もつとも
)
なことである。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
尤
(
もつとも
)
此等の二つの形式を併せ備へてゐる者もあつて、一概に其何れとは
極
(
き
)
めて了ふことは出来ない。併し、其等の仲間には、常に多くの亡命良民と若干の貴種の人々とを交へて居たのは事実である。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
“尤”の解説
尤(ゆう)は漢姓の一つ。『百家姓』の19番目の姓である。中国の福建省と台湾に多い。2020年の中華人民共和国の統計では人数順の上位100姓に入っていないが、台湾の2018年の統計では85番目に多い姓で、32,176人がいる。
現在の多くは王審知が閩の王となった時、閩国内の「沈」姓が同音の「審」を忌避するために改姓したものだと見られる。
(出典:Wikipedia)
尤
漢検準1級
部首:⼪
4画
“尤”を含む語句
尤物
御尤
尤至極
見尤
不尤
尤之次第
尤千万
尤様
尤異
御尤様
御無理御尤
罪尤
至極尤
蚩尤