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塵芥
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じんかい
ふりがな文庫
“
塵芥
(
じんかい
)” の例文
海はその向うに、白や淡緑色の
瀟洒
(
しょうしゃ
)
な外国汽船や、無数の平べたい
艀
(
はしけ
)
や港の
塵芥
(
じんかい
)
やを浮かべながら、濃い
藍色
(
あいいろ
)
の
膚
(
はだ
)
をゆっくりと上下していた。
一人ぼっちのプレゼント
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
河面一面にせり合い、押し合い氷塊は、一度に放りこまれた
塵芥
(
じんかい
)
のように、うようよと流れて行った。ある日、それが、ぴたりと動かなくなった。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
どの手の持主がどの人だかとても分からない。大量
塵芥
(
じんかい
)
製造工場のようなものである。また万引奨励機関でもある。
猫の穴掘り
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そしてこの浅ましい行為によってお前は本当の人間の生活を阻害し、生命のない生活の残り
滓
(
かす
)
を、いやが上に人生の路上に
塵芥
(
じんかい
)
として積み上げるのだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
桟橋の下にはたくさん
藻
(
も
)
や
塵芥
(
じんかい
)
が
浮
(
う
)
いていた。その藻や塵芥の下を
潜
(
くぐ
)
って
影
(
かげ
)
のような魚がヒラヒラ動いている。帰って来た船が
鳩
(
はと
)
のように胸をふくらませた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
ペール・ラシューズ墓地とトローヌ市門との間の大通りの
溝
(
みぞ
)
の中に、ごく寂しい所で遊んでいた子供らが、木片や
塵芥
(
じんかい
)
のうずたかい下に一つの袋を見いだした。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
せせこましい地上の出来事など、この太陽と、海原と、青空との壮大な交響楽の前には、
塵芥
(
じんかい
)
にも等しい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
周囲四丈八尺ある門前の
巨杉
(
おおすぎ
)
の下には、お祭りの名残りの
塵芥
(
じんかい
)
や落葉が
堆
(
うずたか
)
く掻き集められて、誰が火をつけたか、
火焔
(
ほのお
)
は揚らずに、浅黄色した煙のみが
濛々
(
もうもう
)
として
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
晨
(
あした
)
に金光を
鏤
(
ちりば
)
めし
満目
(
まんもく
)
の雪、
夕
(
ゆうべ
)
には
濁水
(
じょくすい
)
と
化
(
け
)
して
河海
(
かかい
)
に落滅す。
今宵
(
こんしょう
)
銀燭を
列
(
つら
)
ねし
栄耀
(
えいよう
)
の花、暁には
塵芥
(
じんかい
)
となつて泥土に
委
(
い
)
す。三界は波上の
紋
(
もん
)
、一生は
空裡
(
くうり
)
の虹とかや。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その途中に家並がとぎれて空地つづきになったところがある、右も左も荒れた草原で、いかにも場末らしくやたらに
紙屑
(
かみくず
)
だの
空罐
(
あきかん
)
だのの
塵芥
(
じんかい
)
が汚ならしく捨ててあるんだ。
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
水には一片の
塵芥
(
じんかい
)
も浮ばず、断崖には
一茎
(
ひとくき
)
の雑草すら
生立
(
おいた
)
ってはいないで、岩はまるで
煉羊羹
(
ねりようかん
)
を切った様に滑かな闇色に打続き、その暗さが水に映じて、水も又
漆
(
うるし
)
の様に黒いのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかも蒼虬の句中たまたまこの悪句あるに非ず、彼が全集は
尽
(
ことごと
)
くこの種の
塵芥
(
じんかい
)
を以て埋めらるる者なり。しかしてこの派を称して芭蕉の
正風
(
しょうふう
)
なりといふに至りては真に芭蕉の罪人なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そしてそのためにはまず、積もり重なってる灰と
塵芥
(
じんかい
)
とを清掃することだった。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
為
(
た
)
めに一人も
中毒
(
ちうどく
)
に
逢
(
あ
)
ひしものなし、此他
飯
(
めし
)
の如き如何なる下等米と
雖
(
いへど
)
も如何なる
塵芥
(
じんかい
)
を
混
(
こん
)
ずると雖も、其味の
佳
(
か
)
なる山海の
珍味
(
ちんみ
)
も及ばざるなり、余の小食家も
常
(
つね
)
に一回凡そ四合を
食
(
しよく
)
したり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
これらの疲労した川筋を通して一年に七千四百万貫の
塵芥
(
じんかい
)
を吹き、六十万
石
(
ごく
)
の
糞尿
(
ふんにょう
)
を
棄
(
す
)
て、さらに八億立方
尺
(
しゃく
)
にも余る汚水を吐き出す此の巨大な怪獣の
皮腺
(
ひせん
)
から
漏
(
も
)
れる
垢脂
(
こうし
)
に過ぎないのだから。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
一方は、
泥
(
どろ
)
立った
急湍
(
きゅうたん
)
であって、……末期イタリー趣味と新マイエルベール式との匂いがあり、感情の醜悪な
塵芥
(
じんかい
)
がその
泡
(
あわ
)
の下に流れている……。
嫌悪
(
けんお
)
すべき傑作だ。イゾルデの生み出したサロメだ。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
清盛は平家の
塵芥
(
じんかい
)
、武家の
糟糠
(
そうこう
)
なり。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
プロレタリアートは、たゞブルジョアジーを武装解除した後にのみ、その世界史的見地に叛くことなく、あらゆる武器を
塵芥
(
じんかい
)
の山に投げ棄てることが出来る。
入営する青年たちは何をなすべきか
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
ぼんやり立って流れを見ていると、目の下を
塵芥
(
じんかい
)
に混って鳩の死んだのがまるで雲をちぎったように流れていっていた。旅空で鳩の流れて行くのを見ている私。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
いつのまにか米友は、柳原の土手の通りを通り過ぎて、加賀ッ原のところまで来て見ると、加賀ッ原の真中に足軽のような者が、
塵芥
(
じんかい
)
を集めて焼き捨てていました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それは感激なくして書かれた詩のようだ。又着る人もなく
裁
(
た
)
たれた
錦繍
(
きんしゅう
)
のようだ。美しくとも、価高くあがなわれても、有りながら有る
甲斐
(
かい
)
のない
塵芥
(
じんかい
)
に過ぎない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
あたかも風の吹き溜まりに
塵芥
(
じんかい
)
が集まるような、いつ、そうなったともわからないほど自然な成り立ちであり、経済的にも感情的にも、自分たちの「街」以外の人間とは
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
(二)石切場内には大小無数の石片石塊と、
石工
(
いしく
)
の作業の跡、及、街道より散入したる
藁
(
わら
)
、紙、
草鞋
(
わらじ
)
、蹄鉄片、その他凡百の
塵芥
(
じんかい
)
類似の物のほか、特に注意すべき遺物を認めず。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
塵芥
(
じんかい
)
貯蔵所まで設けられていた。そして今から三十年前には、新しい建物のために、その一郭はほとんど塗りつぶされてしまった。今日ではもうまったくその姿がなくなってしまっている。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かくてその結果は生命と関係のない物質的な
塵芥
(
じんかい
)
となって、生活の路上に醜く
堆積
(
たいせき
)
する。その堆積の余弊は何んであろう。それは誰でも察し得る如く人間そのものの死ではないか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
小石川堀へ通ずる大溝への
排
(
は
)
けが悪いから、——そのときも、僅かなあいだにどぶ板が浮きかかっており、長屋の女房たちがどしゃ降りの中で、いさましく排け口の
塵芥
(
じんかい
)
をさらっていた。
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
破片となり
塵芥
(
じんかい
)
となり
渾沌
(
こんとん
)
たるものとなってしまった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“塵芥”の意味
《名詞》
塵 芥 (じんかい、ちりあくた)
ごみ。
無価値なもの。
(出典:Wiktionary)
塵
漢検準1級
部首:⼟
14画
芥
漢検準1級
部首:⾋
7画
“塵芥”で始まる語句
塵芥箱
塵芥溜
塵芥焼
塵芥籠
塵芥車
塵芥堆
塵芥屋
塵芥捨場
塵芥掃除人
塵芥焼却場