塔婆たふば)” の例文
しな塔婆たふばまへにそれから其處そこら一ぱい卵塔らんたふまへ線香せんかうすこしづゝ手向たむけて、けてほつかりとあかつた提灯ちやうちんげてもどつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
だい一に塩原多助しほばらたすけと深くつてある。石塔せきたふうらには新らしい塔婆たふばが立つてゐて、それに梅廼屋うめのやと書いてある。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
もやなかを、の三にんとほりすがつたときながいのとみじかいのと、野墓のばかちた塔婆たふばが二ほん根本ねもとにすがれた尾花をばなしろすがらせたまゝ、つちながら、こがらし餘波なごり
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ほねをひろひつかきて九五塔婆たふばいとなみ、僧を迎へて菩提ぼだいのことねんごろにとぶらひける。
塔婆たふばが裏返しだぜ」
どういふわけ梅廼屋うめのや塔婆たふばげたか、不審ふしんに思ひながら、矢立やたて紙入かみいれ鼻紙はながみ取出とりだして、戒名かいみやう俗名ぞくみやうみなうつしましたが、年号月日ねんがうぐわつぴ判然はつきりわかりませぬから、てら玄関げんくわんかゝつて
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
つめた石塔せきたふせたり、濕臭しめりくさ塔婆たふばつかんだり、花筒はなづつ腐水くされみづほしうつるのをのぞいたり、漫歩そゞろあるきをしてたが、やぶちかく、ひどいから、座敷ざしき蚊帳かやなつかしくなつて、うちはひらうとおもつたので
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「いえ、今日こんにちよんどころないことで急ぎますから、御囘向ごゑかうあとでなすつて下さい……塔婆たふばをお立てなすつて、どうぞ御囘向ごゑかうを願ひます」「かしこまりました」と茶を入れて金米糖こんぺいたうなにかを出します。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)