凛々りゝ)” の例文
村「お世辞でもなんでもありません、有難いことゝ思っても仕方がないが、旦那様のような凛々りゝしくって優しいお方はありませんよ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
凛々りゝしく、氣色けしきなほもおごそかに、あたかも語りつゝいとあつことばをばしばしひかふる人の如く、彼續いていひけるは 七〇—七二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
お里は、ほこらしい顏をあげました。やくそこ/\の年ごろでせうが、苦勞をしたせゐか、美しいうちにも、何となく凛々りゝしいところのある娘です。
今年ことし十二さい少年せうねんにはめづらしきまで大人似おとなびて、氣象きしよう凛々りゝしい、擧動きよどう沈着ちんちやくな、まるで、小櫻木大佐せうさくらぎたいさこゝるやうな、雄壯をゝしき少年せうねんとはなつた。
中学の校帽凛々りゝしく戴ける後姿見送りたる篠田は、やがて眸子ひとみを昨日おのが造れる新紙の上になつかしげに転じて「労働者の位地と責任」と題せる論文にとわたり目を走らせつ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
凛々りゝしい殿のかみしも姿が眼の前に
かめ (新字旧仮名) / 濤音(著)
おもて凛々りゝしく、瑠璃青るりあを
騎士と姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
由「ないが何処ともなく巡査さんは凛々りゝしくって怖味こわみがありますから、わたくしが届けちゃいけますまい、何卒どうぞ是は一つお女中に願いましょう」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いろのくつきりとしろい、口元くちもと父君ちゝぎみ凛々りゝしきに眼元めもと母君はゝぎみすゞしきを其儘そのまゝに、るから可憐かれん少年せうねん
と提灯の光ですかし見ると、去年見たよりもふとりまして立派になり、肩幅が張ってゝ何うも凛々りゝしい男で、怖いから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
艦長松島海軍大佐かんちやうまつしまかいぐんたいさ濱島武文はまじまたけぶみ其他そのた同席どうせきの二三士官等しくわんらは、凛々りゝたるおもて微笑びせううかべて、たがひかほ見合みあはとき軍艦ぐんかん」の右舷うげん左舷さげんには、うしほはなたまみだれて、かん速力そくりよくぶがやうであつた。
あなたをよく思わせたのですよ、殿様はなか/\凛々りゝしいお方ですから、貴方あなたと私とのなかが少しでも変な様子があれば気取けどられますのだが、ちっとも知れませんよ
それ何うも凛々りゝしく成っちまって気が詰ります……おかみさん、誠に何うも御無心に来たんです、芸者衆のとこに斯うやって帳面を持って貰って歩いて、金も集りましたが
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
百姓などが殿様御前などと敬い奉りますから、益々増長して縁近き所へ座布団を敷き、其の上に座して、刀掛に大小をかけ、凛々りゝしい様子で居ります。両人は庭へ引出され。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
髪結かみいさんも上手だと見えて大層恰好かっこうに出来ました事、いゝ事ね、何て………まだ島田が惜しいようですね、はゝゝかえって凛々りゝしくてね、丸髷の方が宜しゅうございますよ
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かわって、飯島平左衞門は凛々りゝしい智者ちえしゃにて諸芸に達し、とりわけ剣術は真影流の極意ごくいきわめました名人にて、おとし四十ぐらい、人並ひとなみすぐれたお方なれども、妾の國というが心得違いの奴にて
折角積上げた修業も水の泡に致してしまう事があります、さかんな宗達和尚、お竹の器量と云い、不断の心懸こゝろがけといい、実に惚れ/″\するような女、其の上侍の娘ゆえ中々凛々りゝしい気象なれども
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)