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ゑしやく
ふりがな文庫
“
会釈
(
ゑしやく
)” の例文
旧字:
會釋
やゝ上気した頬の
赭味
(
あかみ
)
のために剃つた眉のあとが殊に
蒼
(
あを
)
く見える細君はかう云ひ乍ら羞ぢらひげに
微笑
(
ほゝゑ
)
んだ
会釈
(
ゑしやく
)
を客の裕佐の方へなげ
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
彼の女はその軽快な薄い唇に「……ルシムラ……」と云ふ風な、私には意味の分らぬ呟きをのぼしつつ、私へ向つても
会釈
(
ゑしやく
)
した。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
だからこの
私窩子
(
しくわし
)
のやうな女が
会釈
(
ゑしやく
)
をした時、おれは相手を
卑
(
いや
)
しむより先に、こちらも眼で笑ひながら、黙礼を返さずにはゐられなかつた。
窓
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
力の無い
謦欬
(
せき
)
の声が奥の方で聞えた。急にお志保は耳を澄して心配さうに聞いて居たが、
軈
(
やが
)
て一寸
会釈
(
ゑしやく
)
して奥の方へ行つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
田端
(
たばた
)
で
停車
(
ていしや
)
した
時
(
とき
)
、
園
(
その
)
は
立上
(
たちあが
)
つて、
其
(
そ
)
の
夕靄
(
ゆうもや
)
にぽつと
包
(
つゝ
)
まれた、
雨
(
あめ
)
の
中
(
なか
)
なる
町
(
まち
)
の
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて、
一寸
(
ちよつと
)
会釈
(
ゑしやく
)
した。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
自分たちはよろけながら、滑りさうになる夜の坂道を帰つた。二人とも一言も云はなかつた。五条坂へ下りて軽く
会釈
(
ゑしやく
)
すると別れたのだ。自分は数日
臥
(
ね
)
ついた。
現代詩
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
「好いお天気でございます。」と声をかけつゝ牛乳屋の
主婦
(
おかみ
)
さんが頭を下げた。道助はちよつと
会釈
(
ゑしやく
)
をしてゆき過ぎた、「あの人の鼻はどうしてあんなに大きいのだ!」
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
赤彦君は新来の客には一々丁寧に
会釈
(
ゑしやく
)
をし、をかしい時には俯伏した儘笑つた。それから、『若い連中も来てゐるから会つて呉れないか』といふと赤彦君はただ点頭いた。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
彼等は出会ふときには、
会釈
(
ゑしやく
)
をするやうに、或は噂をし合ふやうに、或は
言伝
(
ことづて
)
を託して居るやうに両方から立停つて頭をつき合せて居る。これはよくある蟻の転宅であつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
「コーンニチワ……。」と露助は嘉吉を振り向きさま
頓狂
(
とんきやう
)
な声を出した。そして人の好い無邪気な笑顔で丸田にも
会釈
(
ゑしやく
)
した。嘉吉はポケットから細長の
紙函
(
かみばこ
)
を二個取り出してやつた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
それが又自分が
訪
(
たづ
)
ねると、いつも笑ひながら丁寧に
会釈
(
ゑしやく
)
を
為
(
す
)
るのが常であつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
彼は例の荒い皺を、あの晩のやうに深く
険
(
けは
)
しくはなく、ゆるめて、そのために一層老人臭い顔になりながら
会釈
(
ゑしやく
)
をした。そして、一度は手にできた皮膚病を診てもらひに房一のところに来さへした。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
千島
(
ちしま
)
の
事抔
(
ことなど
)
噂
(
うはさ
)
しあへるを耳にしては、
夫
(
それ
)
は
斯
(
か
)
く
彼
(
あれ
)
は
此
(
かう
)
と話して
聞
(
きか
)
せたく鼻はうごめきぬ、
予
(
よ
)
は
洋杖
(
ステツキ
)
にて足を
突
(
つ
)
かれし
其人
(
そのひと
)
にまで、
此方
(
こなた
)
より
笑
(
ゑみ
)
を作りて
会釈
(
ゑしやく
)
したり、
予
(
よ
)
は
何処
(
いづく
)
とさして
歩
(
あゆ
)
みたるにあらず
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
二人は
会釈
(
ゑしやく
)
して玄関の突き当りで右と左とに別れた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「聞いてくれたまへ」と
会釈
(
ゑしやく
)
して
梅原良三郎氏のモンマルトルの画室
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
それから毎日夕方になると、必ず
混血児
(
あひのこ
)
の女は向うの窓の前へ立つて、下品な
嬌態
(
けうたい
)
をつくりながら、
慇懃
(
いんぎん
)
におれへ
会釈
(
ゑしやく
)
をする。
窓
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
銀之助は一寸高柳に
会釈
(
ゑしやく
)
して、別に
左様
(
さう
)
主客の様子を気に留めるでもなく、何か用事でも有るのだらう位に、例の早合点から独り定めに定めて
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それから、時折房一の視線を捕へて
会釈
(
ゑしやく
)
しようとしたが、遠くて駄目だつた。庄谷は逸早く房一の席に気がついたらしい、が、その殆ど白味ばかりのやうな細い眼にちらりと微笑を浮べたきりだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
急に答は
為
(
せ
)
ずに丁寧に
会釈
(
ゑしやく
)
してから
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
先生は、愛想よく、
会釈
(
ゑしやく
)
した。かう云へば、逢つた事があるのなら、向うで云ひ出すだらうと思つたからである。
手巾
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
穢多の中でも
卑賤
(
いや
)
しい身分のものと見え、其処に立つて居る丑松を同じ
種族
(
やから
)
とは夢にも知らないで、妙に人を
憚
(
はゞか
)
るやうな様子して、一寸
会釈
(
ゑしやく
)
し乍ら側を通りぬけた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
が、彼女がその仲間へはひるや否や、見知らない
仏蘭西
(
フランス
)
の海軍将校が、何処からか静に歩み寄つた。さうして両腕を垂れた儘、叮嚀に日本風の
会釈
(
ゑしやく
)
をした。
舞踏会
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
葦原醜男は彼の言葉に、嬉しさうな
会釈
(
ゑしやく
)
を返したが、それでもまだ何となく、間の悪げな
気色
(
けしき
)
は隠せなかつた。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夕方になると、又向うの家の二階の窓には、絹のキモノを着た女が現れて、下品な
嬌態
(
けうたい
)
をつくりながら、
慇懃
(
いんぎん
)
におれへ
会釈
(
ゑしやく
)
をする。が、おれはもうその会釈には答へない。
窓
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一同に軽く
会釈
(
ゑしやく
)
をして、芭蕉の枕もとへすりよつたが、そこに横はつてゐた老俳諧師の病みほうけた顔を眺めると、或満足と悔恨との不思議に錯雑した心もちを、嫌でも味はなければならなかつた。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
素戔嗚は
恭
(
うやうや
)
しい若者の
会釈
(
ゑしやく
)
を受けながら
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“会釈”の意味
《名詞》
会 釈(えしゃく)
(仏教 古用)仏の教えを通じて、矛盾する事象を統一的に解釈すること。
思いやる。
応接する。
相手におじぎ、あいさつをする。
うなずく。
(出典:Wiktionary)
“会釈”の解説
会釈は、えしゃくとあしらいと異なる読み、意味が存在する。
(出典:Wikipedia)
会
常用漢字
小2
部首:⼈
6画
釈
常用漢字
中学
部首:⾤
11画
“会”で始まる語句
会
会得
会津
会話
会社
会稽
会式
会心
会合
会下山