人前にんまへ)” の例文
有難ありがたぞんじます、良人やど平素ふだん牛肉うしなどは三人前にんまへべましたくらゐで……。女「おや、おちなさいまし、早桶はやをけなかでミチ/\おといたしますよ。妻「したのでせう。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
たん地主ぢぬしかへしてしまつたらふたゝ自分じぶんしくなつても容易よういれることが出來できないのをおそれたからである。いまにおつぎを一人前にんまへ仕込しこんでると勘次かんじこゝろおもつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
這麼こんな物を食つて一人前にんまへ五フラン以上払はされたのを見ると菜食料理は倹約になる訳で無い。この家の入口いりくちの右手は本屋に成つて居て諸国の菜食主義ヹジタリズムの出版物ばかりを並べて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さうしてそれよりもなほ彼女かのぢよにとつておそろしいことは、一人前にんまへになつた子供こどもが、どんなふう母親はゝおやのその祕密ひみつ解釋かいしやくし、そしてどんなさばきをそれにあたへるだらうかといふことであつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
わたしんならきことありともかならず辛抱しんぼうしとげて一人前にんまへをとこになり、とゝさんをもおまへをもいまらくをばおまをします、うぞれまでなんなりと堅氣かたぎことをして一人ひとり世渡よわたりをしてくだされ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
別段べつだんさうするやうにひつけたわけではなかつたけれど、自然しぜん自然しぜんはゝ境遇きやうぐう會得ゑとくしてむすめ君子きみこは、十三になつた今年頃ことしごろから、一人前にんまへ仕事しごとにたづさはるのをたのしむものゝやうに
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)