上段じやうだん)” の例文
上段じやうだんづきの大廣間おほひろま正面しやうめん一段いちだんたかところに、たゝみ二疊にでふもあらうとおもふ、あたかほのほいけごと眞鍮しんちう大火鉢おほひばち炭火たんくわ烈々れつ/\としたのをまへひかへて、たゞ一個いつこ大丈夫だいぢやうぶ
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「こちらが上段じやうだんといつて殿樣がお泊りになつたお部屋です。それからあちらがお小姓の間で……」
ふるさとびと (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
部屋々々へや/\には、いろ/\な名前なまへむかしからつけてありまして、上段じやうだんおくなかつぎ、それからくつろぎのなぞといふのがりました。祖父おぢいさんはいつでも書院しよゐんました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
天一坊へ申傳へるに伊豆守役儀と有ば是非に及ばず又明日參るべしとの事にてやが歸館々々きくわん/\觸出ふれだしければ天一坊は上段じやうだんの間より靜々しづ/\と下り立ちけるに引續いて常樂院大膳左京右門のともが玄關げんくわんさし歩行あゆみけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
好接異客このんでいかくにせつす、はいが、お追從連つゐしようれん眼下がんかならべて、自分じぶん上段じやうだんとこまへ無手むずなほり、金屏風きんびやうぶ御威光ごゐくわうかゞやかして、二十人前にじふにんまへぬりばかり見事みごとぜん青芋莄あをずゐき酢和すあへで、どぶろくで
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宰領さいりやうす供には常樂院大膳左京等皆々附隨がふほどなく伊豆守殿御役宅に到るに開門かいもんあれば天一坊の乘物は玄關げんくわん横付よこつけにしたり案内の公用人にひか廣書院ひろしよゐんへ通り上段じやうだんなる設の席に着す常樂院伊賀亮等はつぎへ着座す又此方に控へらるゝ御役人方おんやくにんがたには御老中筆頭ごらうちうひつとう松平伊豆守殿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いえもうなんでございます、じつ此先このさきちやうけ、うすれば上段じやうだんへやかして一ばんあふいでそれ功徳くどくのためにするうちがあるとうけたまはりましても、まツたくのところあし歩行あるけますのではございません
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)