黒土くろつち)” の例文
ヴォクセニスカという村へ辿りつくと、この機を逃さず珍種日本人を見学せばやとあって、黒土くろつち道の両側に土着の人民が堵列とれつしている。
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
その足音あしおともちよく野原のはら黒土くろつちそこはうまでひゞきました。それから鹿しかどもはまはるのをやめてみんな手拭てぬぐひのこちらのはうちました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
二郎じろうは、まえはたけにまいた、いろいろの野菜やさい種子たねが、あめったあとで、かわいらしい黒土くろつちおもてしたのをました。
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)
えますとも、乾溝からどぶ背後うしろがずらりと垣根かきねで、半分はんぶんれたまつおほき這出はひだしてます。そのまへに、つくねた黒土くろつちから蒸氣いきれつやうなかたちるんですよ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三人はクララの立っている美しい芝生より一段低い沼地がかった黒土くろつちの上に単調にずらっとならんで立っていた——父はおびやかすように、母は歎くように、男はうらむように。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
赤土あかつちの道より黒土くろつちの坂となり往くもかへるも心にぞ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
蘇鐵のかげの黒土くろつち
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
黒土くろつち、草の
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
にまし、あたたかになって、いままで、霜柱しもばしらしろく、かたむすんでいた、にわ黒土くろつちやわらかにほぐれて、したから、いろいろのくさしてきました。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
した黒土くろつちには、ばんだ大根だいこんが、きれいにあたまならべていました。おきぬは子供こどもがかぜぎみであることをっていました。ってくるはずのねんねこをわすれてきたのにがついて
谷にうたう女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おばあさん、はたけつちは、赤土あかつちですか、黒土くろつちですか。」と、かかりのものはいました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆきえて、黒土くろつちうえに、ほこほことあたたかなひかりす、はるのことでした。
へちまの水 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そんなにあかくなかった。」といいながら、清次せいじは、みょうがのけて、したをのぞいていました。みょうがのが、やわらかな黒土くろつちから、うすあかあたまして、しろはないているのでありました。
僕のかきの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
黒土くろつちでございます。」と、おばあさんはこたえました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)