陳列ちんれつ)” の例文
文部省でこしらえたり、美術院でやったりする展覧会に、特別室をもうける必要があり、その特別室へも陳列ちんれつを許さない作品もある。
国民性の問題 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「まあ、たかいのね!」と、おおきなこえでおっしゃったので、そばにいるひとたちまでが陳列ちんれつされた反物たんものとおみつの着物きものとをくらべて
田舎のお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
博物館はくぶつかんにはみなさんのつてゐるように、種々しゆ/″\品物しなものならべてありますが、たいていはある種類しゆるいのものばかりをえらんで、陳列ちんれつしてあるのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
野だの云う事は言語はあるが意味がない、漢語をのべつに陳列ちんれつするぎりで訳が分らない。分ったのは徹頭徹尾賛成致しますと云う言葉だけだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
銀座通りの有名な美術商、美宝堂びほうどう陳列ちんれつ室は、美術品を見る客でにぎわっていました。
黄金豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
品物しなもの店頭てんとう陳列ちんれつするようなことはあまりないようでございました。
きつはなして急催促きふさいそく言譯いひわけすべきほどもなくたちま表向おもてむきの訴訟沙汰そしようざたとはれりけるもと松澤まつざは數代すだい家柄いへがら信用しんようあつければ僅々きん/\せん二千にせんかね何方いづかたにても調達てうたつ出來得できうべしと世人せじんおもふは反對うらうへにて玉子たまご四角しかくまだ萬國博覽曾ばんこくはくらんくわいにも陳列ちんれつ沙汰さた
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして、みせかえってから、そのさかずきをこまかな美術品びじゅつひんといっしょに、ガラスりのたなのなかおさめて陳列ちんれつしました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その日本部につぽんぶには日本につぽんにおいてさへられないようなふる美術品びじゆつひんもあり、日本につぽん建築けんちくとこのようなものをつくつて、陳列ちんれつしてあるのには感心かんしんされます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
東のすみに一夜作りの舞台ぶたいを設けて、ここでいわゆる高知の何とか踴りをやるんだそうだ。舞台を右へ半町ばかりくると葭簀よしずの囲いをして、活花いけばな陳列ちんれつしてある。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一方には、ガラスばりの陳列ちんれつだなのようなものが、おいてあって、その中に、いろいろな宝石や金銀のかざりものが、ピカピカと光っています。人形怪人が、ぬすみためたものでしょう。
怪人と少年探偵 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
また鑛物こうぶつ動植物どうしよくぶつのような博物學はくぶつがくかんする標本類ひようほんるいばかりを陳列ちんれつしてあるところ博物學博物館はくぶつがくはくぶつかんといふことが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そのみせにはガラスだなのなかに、利助りすけのさかずきが、めずらしい物品ぶっぴんといっしょに陳列ちんれつされているのでした。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こう云う連中だから、大概は級のしりの方にかたまって、いつでも雑然と陳列ちんれつされていた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かえ時分じぶんになって、叔父おじさんは、おもいました。——西洋画せいようがなんて、どこがおもしろいのだろう? そして、博物館はくぶつかんにいい陳列ちんれつがあるのに、にゆかずに、こちらへばかりやってくる——。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)
博物館はくぶつかんに、いま光琳こうりんほう一など、琳派りんぱ陳列ちんれつがあるのじゃがな。」と、叔父おじさんは、博物館はくぶつかんもんのあるほうをつえでしました。しかし、そのほうには、人影ひとかげすくなくて、さびしかったのです。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)