“阿(あ)” の例文
司馬穰苴(しばじやうしよ)は田完(でんくわん)の(一)苗裔(べうえい)也(なり)。齊(せい)の景公(けいこう)の時(とき)、晉(しん)は(二)阿(あ)・甄(けん)を伐(う)ち、而(しかう)して燕(えん)は(三)河上(かじやう)を侵(をか)し、齊(せい)の師(し)敗績(はいせき)せり。景公(けいこう)之(これ)を患(うれ)ふ。
だから、坊さんが、お經を讀むのを聞いてゐると、隨所で、「阿(あ)、阿(あ)、阿(あ)ア‥‥」と引つぱツては又、朗々と、續けてゆく。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
最後におもなる女優又來りて、それの詞の韻脚は囀(さへづ)りにくし、あの韻をば是非とも阿(あ)のこゑにして賜はれといふ。
一同(いちどう)これはと恐(おそ)れ謹(つゝし)みけるに、良(やゝ)ありて幸豐公(ゆきとよぎみ)、御顏(おんかほ)を斜(なゝめ)に見返(みかへ)り給(たま)ひ、「杢(もく)、杢(もく)」と召(め)し給(たま)へば、遙(はる)か末座(まつざ)の方(かた)にて、阿(あ)と應(いら)へつ、白面(はくめん)の若武士(わかざむらひ)、少(すこ)しく列(れつ)よりずり出(い)でたり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
二軒の屋敷の大門が朦朧(もうろう)と火光に映じた時、内藤屋敷の屋根棟から、気合に充ちた「阿(あ)」という声が、石でも投げたように迸(ほとばし)った。同時に一条の捕り縄が、空を切って投げ下ろされた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
其の響かないのを發音的に書くならば、誰が書いても「つくえ」と阿(あ)行の「え」を書いて居る筈(はず)であります。それならば新しい道が出來て居る譯で、それを認めてやつても宜しい譯であります。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「南(な)ア無(む)ウ阿(あ)ア弥(み)イ陀(だ)ア仏(ぶつ)ウ」
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「南(な) 無(む) 阿(あ) 弥(み) 陀(だ) 仏(ぶつ)」
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
阿(あ)、讃(さん)、伊の三ヵ国は、阿波を蜂須賀正勝に、讃岐(さぬき)を仙石権兵衛に、伊予(いよ)を小早川隆景に、それぞれ分割して封(ほう)ぜられた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人間の気を奪ふため、故(ことさ)らに引込(ひきこ)まれ/\、やがて忽(たちま)ち其(その)最後の片翼(かたつばさ)も、城の石垣につツと消えると、いままで呼吸(いき)を詰めた、群集(ぐんじゅ)が、阿(あ)も応(おう)も一斉(いっとき)に、わツと鳴つて声を揚げた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そもそも伊賀流の秘訣というは阿吽(あうん)の呼吸これ一つじゃ」老人は静かに説き出した。「吽(うん)と閉じれば姿が消え、阿(あ)と口を開けば姿が見える。吽の間の長い者こそ流儀の極意の体得(たいとく)者じゃ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すると、赤ンぼが、一番初めに洩らす言葉が、「阿(あ)——」といふ音ださうである。佛教でいふ阿字觀(あじくわん)とは、その生命の根元をさすのだとか聞いてゐる。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
極まった瞬間「阿(あ)」と呼吸吐く!
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「南(な)、無(む)、阿(あ)、弥(み)、陀(だ)、仏(ぶつ)」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「阿(あ)!」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)