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邪推
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じゃすい
ふりがな文庫
“
邪推
(
じゃすい
)” の例文
実際またそう思って読んで行けば、疑わしい個所もないではなかった。けれども
再応
(
さいおう
)
考えて見ると、それも皆彼女の
邪推
(
じゃすい
)
らしかった。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
どうしても君が嫌だと云えば、
致
(
いた
)
し方がないけれども、こういう誤解や
邪推
(
じゃすい
)
に出発したことで君と喧嘩したりするのは、僕は嫌だ。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「オオ、おめえは何か、おれとお吉さんと、変なことでもあるように
邪推
(
じゃすい
)
しているってえことだが、それじゃ、お吉さんがかわいそうだ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、そうでもないけれど、お前が妙に見せたがらないから、つい
邪推
(
じゃすい
)
をして、おれ以前に他の愛人があったのかと思った」
妻の秘密筥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私は
暗然
(
あんぜん
)
と顔を上げた。芸術家気質でそういうだらしない生活をしているのだろうと、旅川が言外に含めたのではないかと
邪推
(
じゃすい
)
したのである。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
▼ もっと見る
庄太郎は、さっきの
愚
(
おろか
)
な
邪推
(
じゃすい
)
を笑うどころではなく、
強
(
し
)
いて自分自身を安心させる様に、大丈夫、大丈夫と
繰返
(
くりかえ
)
した。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
遇
(
ぐう
)
すること
峻烈
(
しゅんれつ
)
であったのはそういう冷やかし半分の
狼
(
おおかみ
)
連を
撃退
(
げきたい
)
する手段でもあったと云うが皮肉にもそれがかえって人気を呼んだらしくもある
邪推
(
じゃすい
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ハリッチ発などと書くと、余が、とうとう
初一念
(
しょいちねん
)
を
貫
(
つらぬ
)
いて、ロンドン上陸後、このハリッチへ来たように
邪推
(
じゃすい
)
するであろう。しかし、事実は、大ちがいだ。
沈没男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あれはまったく君の
邪推
(
じゃすい
)
というものだよ。君はそんなことのできるような性質の人ではないじゃないの
遊動円木
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「
僕
(
ぼく
)
が、
逃
(
に
)
がしたのではないよ。」と、
B坊
(
ビーぼう
)
は、あまりの
A坊
(
エーぼう
)
の
邪推
(
じゃすい
)
に、
不平
(
ふへい
)
を
抱
(
いだ
)
きました。
町の真理
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ばかを申せ! 拙者が貴公を訴人したなどとは、
徹頭徹尾
(
てっとうてつび
)
貴様の誤解だ!
邪推
(
じゃすい
)
じゃ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いくら
下手
(
へた
)
だって糸さえ
卸
(
おろ
)
しゃ、何かかかるだろう、ここでおれが行かないと、赤シャツの事だから、下手だから行かないんだ、
嫌
(
きら
)
いだから行かないんじゃないと
邪推
(
じゃすい
)
するに
相違
(
そうい
)
ない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが全く私の
邪推
(
じゃすい
)
で、娘時代の理想に
良人
(
おっと
)
が高利貸に責められるというような事も想像しませんからただ驚きのあまり色々な邪推を起したのです。極端まで邪推を
逞
(
たく
)
ましくしたのです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そんな
邪推
(
じゃすい
)
していらっしゃるの。
妾
(
わたくし
)
勝彦さんを馬鹿だとか白痴だとか
賤
(
いや
)
しめたことは、一度もありませんわ。あんな無邪気な純な方はありませんわ。それは、少し足りないことは足りないわ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
おみちがさっきのあの顔いろはこっちの
邪推
(
じゃすい
)
かもしれない。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
然るに、明智どのには、女性のような
邪推
(
じゃすい
)
をなさる一面から、何か、この蘭丸長定が君側からそれを
焚
(
た
)
きつけでもしたように取っておらるるらしい。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……それ考えたら無理もないとこもあるのんで、まあちょっとぐらい
邪推
(
じゃすい
)
交ってるとしたかて、とにかく本気で私に同情求めてるみたいに思われますねん。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そして、これは私の
邪推
(
じゃすい
)
かも知れませんけれど、河野は
寧
(
むし
)
ろ、覗き眼鏡の秘密をその
筋
(
すじ
)
に知らせないで、彼の独占にして置くことを望んでいる様に見えました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
たしかにそこに置いた筈の夜具の
裾
(
すそ
)
のところには見当らず、両人は目を皿にして部屋中を
匐
(
は
)
い廻ったがどこにもなく、そこで両人互いに相手を
邪推
(
じゃすい
)
して立廻りへと移行したが
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
好加減
(
いいかげん
)
な
邪推
(
じゃすい
)
を
実
(
まこと
)
しやかに、しかも
遠廻
(
とおまわ
)
しに、おれの頭の中へ
浸
(
し
)
み
込
(
こ
)
ましたのではあるまいかと迷ってる矢先へ、
野芹川
(
のぜりがわ
)
の土手で、マドンナを連れて散歩なんかしている姿を見たから
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と云うと私がひどく
邪推
(
じゃすい
)
深いように聞えますが、これはその若い男の浅黒い顔だちが、妙に私の反感を買ったからで、どうも私とその男との間には、——あるいは私たちとその男との間には
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
不規則に覚えていたのである鵙屋の家族は佐助が
邪推
(
じゃすい
)
したように笑い草にする積りであったかも知れないが
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これはおれの
邪推
(
じゃすい
)
かも知れない。出来るならそう思いたい。だが、あれが偶然だろうか。昨日から今朝にかけておれの行く所には必ず母親の目が光っているのだ。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それで、亡きおもとの父も、必ずや、頼政の軍にでも加担して果てたのであろうと、
邪推
(
じゃすい
)
するのでしょう
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は、六郎氏が夕刻から、よく小梅の友達の所へ碁を囲みに出かけたのは、この屋根裏の遊戯の時間をごまかす手段ではなかったか、とさえ
邪推
(
じゃすい
)
するのであります。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
八風斎
(
はっぷうさい
)
の鼻かけ
卜斎
(
ぼくさい
)
は、さてこそ、
秀吉
(
ひでよし
)
のまわし者でもあろうかと
邪推
(
じゃすい
)
をまわして、そこの
唐紙
(
からかみ
)
を
蹴
(
け
)
たおすばかりな勢い——
間髪
(
かんはつ
)
をいれずにあとを追いかけていった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本当に恐ろしいことだけれど、そんな
邪推
(
じゃすい
)
でさえも、この東京では決して無理とは云えないのです。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
可憐
(
かれん
)
な小娘の
顫
(
おのの
)
き声には、何の
邪推
(
じゃすい
)
も起らなかった。一徹であるだけに、十兵衛は感動しやすい。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ぬために、さてはと、悪く
邪推
(
じゃすい
)
して、城外の下人どもまで、あらぬ
臆測
(
おくそく
)
を口走ったものらしい
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼の部分だけくり抜いてある様子だが、そのほかは顔全体がまったく隠れてしまっているではないか。まるで顔を見られまいための巧みな工夫みたいに
邪推
(
じゃすい
)
されるではないか。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「それどころか、
稀
(
たま
)
に酒ぐらい少し飲むが、おれは生れ代ったように、あれ以来、武蔵とお通の消息を探り歩いているじゃねえか。そうおふくろに
邪推
(
じゃすい
)
されちゃ情けなくなる」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は先に述べた諸戸の求婚運動を、若しや私から初代を奪わんが為ではあるまいかと
邪推
(
じゃすい
)
した時、私自身私の猜疑心を
嗤
(
わら
)
った位である。だが、この
一度
(
ひとたび
)
きざした疑いは、妙に私を捉えて離さなかった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが、それほど愚鈍とも見えない内匠頭と思うと、或は、知っていながら、慇懃と口先だけ、出すべき実質の物を出さないで済ませようとする
狡
(
ずる
)
い手ぐちかもしれないと
邪推
(
じゃすい
)
した。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかに、さもしい俗人の
邪推
(
じゃすい
)
をもって僧正の身のまわりをながめても、僧正に、それ以上なものがなければ淋しかろうとか、不幸だろうとかいうようなことは考えもつかない沙汰である。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀吉が
僭越
(
せんえつ
)
な
音頭
(
おんど
)
を取って事態をうごかしているように
邪推
(
じゃすい
)
された。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あれだ……。旦那ときたひにゃ、まったく
邪推
(
じゃすい
)
ぶけえんだから」
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『まあ、善兵衛さんたら、ほんとに、
邪推
(
じゃすい
)
ぶかい』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう
邪推
(
じゃすい
)
もできるし
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ま、
邪推
(
じゃすい
)
ぶかい」
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“邪推”の意味
《名詞》
間違った推測をすること。ひがみ、悪く推量すること。
(出典:Wiktionary)
邪
常用漢字
中学
部首:⾢
8画
推
常用漢字
小6
部首:⼿
11画
“邪推”で始まる語句
邪推者