遍歴へんれき)” の例文
そうして、勇敢にして天真爛漫てんしんらんまん聖天大聖せいてんたいせい孫悟空そんごくうや、怠惰たいだな楽天家、天蓬元帥てんぽうげんすい猪悟能ちょごのうとともに、新しい遍歴へんれきの途に上ることとなった。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
づ、わたくし世界せかい漫遊まんゆう目的もくてきで、横濱よこはまみなと出港ふなでしたことから、はじめ米國ベイこくわたり、それより歐羅巴エウロツパ諸國しよこく遍歴へんれきした次第しだい
信心の遍歴へんれきにといって、木曾のお百草問屋の大蔵が、奈良井の本家を出かけてから、ことしで足かけ四年目になる。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ヘザールの子孫もオクタンの子孫も、宝をさがして東洋の国々を遍歴へんれきしているうちに、代々東洋人と結婚したから、しだいに東洋人の血がくなっていったのじゃ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかしこの遍路は一生こうして諸国を遍歴へんれきしてどこの国で果てるか分からぬというのではなかった。
遍路 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
抜身ぬきみをひっさげて、苦しんでいる人なら、誰でも助けたりかばったりしながら、諸国を遍歴へんれきしただろうになア。この子は困っている人達を見ると、いつでも戦いたくなるのだから。」
其方儀そのはうぎ感應院かんおうゐん師恩しおんわきまへず西國修行に罷り出度由申立あざむきて諸國を遍歴へんれき徒黨とたうを集め百姓町人より金銀を掠取かすめと衣食住いしよくぢう侈奢ししやをなしたるだんかみを恐ざる致方いたしかた重々ぢう/\不屆至極に付獄門申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
カトリックに通い、あんまを習い、すべての遍歴へんれきは年月の底にうもれて
原爆詩集 (新字新仮名) / 峠三吉(著)
罪ならず、恋の風流ふうりう遍歴へんれき
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
獨逸等ドイツとうおと名高なだか國々くに/″\名所めいしよ古跡こせき遍歴へんれきして、其間そのあひだつきけみすること二十有餘箇月いうよかげつ大約おほよそまん千里せんり長途ながたびあとにして、つひ伊太利イタリーり、往昔むかしから美術國びじゆつこく光譽ほまれたか
甲府こうふを一とおり遍歴へんれきした宮内は、これから道を東にとって、武蔵むさしの国へはいるつもり。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて、五年に近い遍歴へんれきの間、同じ容態に違った処方をする多くの医者たちの間を往復するような愚かさを繰返したのち、悟浄ごじょうは結局自分が少しも賢くなっていないことを見いだした。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
わたくしえずたびからたびへと遍歴へんれきしてつたので、この珍聞ちんぶんつたのもいまはじめてであるが、あゝ、大佐たいさ其後そのゝち如何いかにしたであらう、つひその目的もくてきたつしてふたゝ日本につほんかへつたであらうか。
まだ、急な事ではないが、十兵衛はやがて諸国遍歴へんれきに出て、短くとも、ここ五、六年は帰らぬ身じゃ。そちさえ嫌でなければ、百年ももとせの誓いをして立ちたい。また、いやなものならば——ぜひもないが
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて、爾後じご永年にわたる孔子の遍歴へんれきが始まる。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
時にはまた、巌流の萩之小路はぎのこうじの屋敷をたずねる遍歴へんれきの武芸者が
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)