遊戯あそび)” の例文
旧字:遊戲
看板に「沢山たくさん道具をお壊しなさい、それ貴君あなたのお幸福しあはせ」と書いてある。如何いかにも破壊を好む気ばや仏蘭西フランス人の気に入りさう遊戯あそびだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
この不幸な少年も矢張自分と同じ星の下に生れたことを思ひ浮べた。いつぞやこの少年と一緒に庭球テニス遊戯あそびをして敗けたことを思ひ浮べた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
何か江戸土産みやげになりそうな、珍らしい面白い遊戯あそびを娘にさせて帰したい,が何がよかろうと二人が相談を始めた。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
遊戯あそびにほうけた女の児が走り出て来てよろけたり、職人がお前を近く横切ったり……そのたびに大作ははっとするが、忠相にはすべてがほほえみと見えて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
二三日たって夜食の時、このことを父母に話しましたところ何時いつ遊戯あそびのことは余り気にしない父がかどたてしかり、母すら驚いた眼を張って僕の顔を見つめました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
成程智恵子は遊戯あそびなどに心を打込む様な性格たちでないと思つたので、お利代は感心した様に
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
……かわいいのに目がないから、春も秋も一所いっしょだが、晴の遊戯あそびだ。もうちっと、綺麗きれい窓掛まどかけ絨毯じゅうたんを飾ってもりたいが、庭が狭いから、羽とともに散りこぼれる風情ふぜいの花は沢山ない。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其他そのほか面白おもしろこと隨分ずゐぶんあつた。音樂會おんがくくわい翌々日よく/\じつことで、ふね多島海たたうかいおきにさしかゝつたときおほく船客せんきやく甲板かんぱん集合あつまつて種々いろ/\遊戯あそびふけつてつたが、其内そのうちたれかの發起はつき徒競走フートレースはじまつた。
火点ともるごときそのけはひ、遊戯あそび夜に入る。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ある晩和田垣博士と僕とで取替へ取替へ片端かたつぱしから一ぴんも余さず壊して見たが、僕の様な癇癪持かんしやくもちにはまことに便利なそして安価で胸の透く遊戯あそびだと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
宗蔵と三吉との年齢とし相違ちがいは、三吉と正太との相違であった。この兄弟の生涯は、喧嘩けんかと、食物くいものの奪合と、山の中の荒い遊戯あそびとで始まったようなもので。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鶴谷の邸の妖怪変化は、みんな私が手伝いの人と一所に、憂晴うさはらしにしたいたずら遊戯あそび、聞けば、怪我人も沢山たんと出来、嘉吉とやら気が違ったのもあるそうな、つい心ない、気の毒な、みんなの手当を
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この老人としよりが僕の仲善なかよしでしたが、或日あるひ僕に囲碁の遊戯あそびを教えてれました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
隣では子供が遊戯あそびにふけっている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
丁度庭球テニス遊戯あそびを為るために出て行かうとする文平を呼留めて、一緒に校長はある室の戸を開けて入つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わかい男ははばかって、鐘撞かねつき堂からのぞきつつその遊戯あそび見愡みとれたが……巨刹おおでら黄昏たそがれに、大勢の娘の姿が、はるかに壁にかかった、極彩色の涅槃ねはんの絵と、同一状おなじさまに、一幅の中へ縮まった景色の時、本堂の背後うしろ
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
誰もの穢多の子と一緒に庭球の遊戯あそびを為ようといふものは無かつたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)