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追縋
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おいすが
ふりがな文庫
“
追縋
(
おいすが
)” の例文
垣を越える、町を
突切
(
つッき
)
る、川を走る、やがて、山の腹へ
抱
(
だき
)
ついて、のそのそと
這上
(
はいあが
)
るのを、
追縋
(
おいすが
)
りさまに、尻を下から
白刃
(
しらは
)
で縫上げる。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夏子は、湯に濡れてツルツルした全裸のまま、恥しさも忘れて青年に
追縋
(
おいすが
)
り、その腕を掴んだ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
青年はすると、誘うまでもなく、酷く焦燥しながら、
身悶
(
みもだ
)
えをするようにして署長の
背後
(
うしろ
)
へ
追縋
(
おいすが
)
って行った。その後から、三人の刑事は、何か
目交
(
みま
)
ぜをして、薄笑いながら跟いて行った。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「そんなに騒いじゃ、犯人に気付かれますよ」と私は
追縋
(
おいすが
)
って云った。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かえって高閣に
束
(
つか
)
ねられて省みる者も無く、一方俳諧の
附合
(
つけあい
)
のこんなにまで
解
(
わか
)
りにくいものを、なお我々が
追縋
(
おいすが
)
っても
覗
(
のぞ
)
こうとするのは、決してただ時代が近いからという親しみだけではなかった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
とばかり
怯
(
おび
)
えるように差出した三世相を、ものをも言わず
引掴
(
ひッつか
)
んで、
追縋
(
おいすが
)
って跡に附くと、早や五六間
前途
(
むこう
)
へ離れた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あんまり男の薄情さ、大阪へも、
追縋
(
おいすが
)
って参りましたけれど、もう……男は、石とも、氷とも、その冷たさはありません。口も
利
(
き
)
かせはいたしません。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「度々御苦労ね、今
直
(
じき
)
に。」と照子の答に、使者面目を施して、ばたばたにて引返すを、
此方
(
こなた
)
の侍女
追縋
(
おいすが
)
りて
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
追縋
(
おいすが
)
って染次が呼出しの手紙の端に、——明石のしみは、しみ抜屋にても引受け申さず、この上は、くくみ洗いをして、人肌にて暖め乾かし候よりせむ方なしとて
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは
腰蓑
(
こしみの
)
で、笠を
被
(
かぶ
)
った、
草鞋穿
(
わらじば
)
きの大年増が、笊に上げたのを提げて、
追縋
(
おいすが
)
った——実は、今しがた……そこに
一群
(
ひとむれ
)
、
鰻
(
うなぎ
)
、
鯰
(
なまず
)
、
鰌
(
どじょう
)
、穴子などの店のごちゃごちゃした中に
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兇器
(
きょうき
)
が手を離るゝのを
視
(
み
)
て、局は
渠
(
かれ
)
が
煙草入
(
たばこいれ
)
を探す
隙
(
すき
)
に、そと身を起して、
飜然
(
ひらり
)
と一段、天井の雲に
紛
(
まぎ
)
るゝ如く、廊下に
袴
(
はかま
)
の
裙
(
すそ
)
が
捌
(
さば
)
けたと思ふと、
武士
(
さむらい
)
は
武
(
む
)
しや
振
(
ぶ
)
りつくやうに
追縋
(
おいすが
)
つた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山を
覆
(
くつがえ
)
したように
大畝
(
おおうねり
)
が来たとばかりで、——
跣足
(
はだし
)
で
一文字
(
いちもんじ
)
に
引返
(
ひきかえ
)
したが、
吐息
(
といき
)
もならず——寺の門を入ると、
其処
(
そこ
)
まで
隙間
(
すきま
)
もなく
追縋
(
おいすが
)
った、
灰汁
(
あく
)
を
覆
(
かえ
)
したような海は、自分の
背
(
せなか
)
から放れて
去
(
い
)
った。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
飛退
(
とびの
)
く
隙
(
ひま
)
に雀の子は、
荒鷲
(
あらわし
)
の
翼
(
つばさ
)
を
潜
(
くぐ
)
りて土間へ飛下り素足のまま、一散に
遁出
(
にげい
)
だすを、
遁
(
のが
)
さじと
追縋
(
おいすが
)
り、裏手の空地の
中央
(
なかば
)
にて、
暗夜
(
やみ
)
にも
著
(
しる
)
き玉の
顔
(
かんばせ
)
、
目的
(
めあて
)
に三吉
衝
(
つ
)
と寄りて
曳戻
(
ひきもど
)
すを振切らんと
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「熊の
蛆
(
うじ
)
め、畜生。」と
追縋
(
おいすが
)
って
衝
(
つ
)
と露地を出た。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前
(
さき
)
になりて
駈出
(
かけいだ
)
せば、後より
忙
(
せわ
)
しく
追縋
(
おいすが
)
りて
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すぐに、カタカタと
追縋
(
おいすが
)
って
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小県が
追縋
(
おいすが
)
る
隙
(
すき
)
もなかった。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
追
常用漢字
小3
部首:⾡
9画
縋
漢検1級
部首:⽷
16画
“追”で始まる語句
追
追従
追々
追剥
追分
追掛
追手
追憶
追付
追駈