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軽捷
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けいしょう
ふりがな文庫
“
軽捷
(
けいしょう
)” の例文
旧字:
輕捷
腕も抜群ですが、何よりの特色はその
軽捷
(
けいしょう
)
な身体で、もう一つの特色は、妨げる者は殺さずんば
已
(
や
)
まない、鬼畜のごとき残虐性でした。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
人ちがいなどするかといった
体
(
てい
)
である。背には
笈
(
おい
)
を負い、
軽捷
(
けいしょう
)
を欠いた
扮装
(
いでたち
)
に見えるが、踏んまえている足は木が生えているように
慥
(
たし
)
かである。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
事変の起りやすい狩場などでも、彼は
軽捷
(
けいしょう
)
に立ち回って、怪我一つ負わなかった。その上に、忠利侯の覚えもよかった。
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すなわち片手で自由自在に、大刀を
揮
(
ふる
)
うだけの
膂力
(
りょりょく
)
あるもの、そうして
軽捷
(
けいしょう
)
抜群の者と
自
(
おのずか
)
ら
定
(
き
)
められているのであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
アラブ馬のもっとも
讃
(
ほ
)
むべき特性は、その動作の
靱
(
しな
)
やかな点で、他にこれよりも美麗駿速な馬種なきにあらざるも、かくまで優雅
軽捷
(
けいしょう
)
画のごとく動く馬なし。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
柔惰な享楽主義の
生温
(
なまぬる
)
い
枕
(
まくら
)
をし、皮肉できわめて
軽捷
(
けいしょう
)
でかなり好奇的で根本は驚くばかり冷淡な才知の生温い枕をして、暖かい木陰にうとうとと居眠るのはいかにも快いことである。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ことに身体動作の
軽捷
(
けいしょう
)
さは神業のごとくで、慶安四年三月二十五日、将軍
家光
(
いえみつ
)
の上覧試合に
阿部道世入道
(
あべどうせいにゅうどう
)
と立合った時などは、跳躍するたびにその衣服の裾が
軒庇
(
ひさし
)
を払ったと伝えられている
松林蝙也
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大きな石が積み重ねられ、植木が片寄せられたままになっている庸三の狭い庭にも、
餌
(
えさ
)
を
猟
(
と
)
りに来て、枝から枝を
潜
(
くぐ
)
っている
鶯
(
うぐいす
)
の
軽捷
(
けいしょう
)
な姿が見られ、肌にとげとげしい余寒の風が吹いていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
小作りで、年の頃二十五六、少し
三白眼
(
しろめ
)
ですが、色の浅黒い、なかなかの男前、なんとなく
軽捷
(
けいしょう
)
で抜け目のなさそうな人間です。
銭形平次捕物控:020 朱塗の筐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「旺勢は避けて、弱体を衝く。——当然な兵法だな。——だがまた、装備を誇る驕慢な大軍は、
軽捷
(
けいしょう
)
な
寡兵
(
かへい
)
をもって奇襲するに絶好な
好餌
(
こうじ
)
でもあるが?」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
学者これを鳥中の燕に比したほど
軽捷
(
けいしょう
)
で、『呂覧』に
養由基
(
ようゆうき
)
矢を放たざるに、猨、樹を擁して
号
(
さけ
)
び、『呉越春秋』に越処女が杖を挙げて白猨に打ち
中
(
あ
)
てたなどあるは
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
殊に此の信澄は
軽捷
(
けいしょう
)
無類の武術があまりうまくなり過ぎて、武術の師匠を冷遇したので、その連中が丹羽方へ内通したと云われるだけに、生きていたら山崎合戦に於ても
山崎合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
何んたる
軽捷
(
けいしょう
)
! 左門は、
背後
(
うしろ
)
ざまに縁の上へ躍り上がった。構えは? 依然として逆ノ脇! そこへ柳が生えたかのように、
嫋
(
しなや
)
かに、少し傾き、縁先まで追って来た頼母を見下ろしている。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女ながら、稲妻小僧と言われた、恐ろしい
軽捷
(
けいしょう
)
さ、しばらく平次も持て余しましたが、やがて匕首を叩き落すと、キリキリと縛り上げます。
銭形平次捕物控:089 百四十四夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
安土
(
あづち
)
の城には、じぶんの主人
福島市松
(
ふくしまいちまつ
)
をはじめ、
幼名
(
ようめい
)
虎之助
(
とらのすけ
)
の
加藤清正
(
かとうきよまさ
)
、そのほか
豪勇
(
ごうゆう
)
な少年のあったことも聞いているが、まだこの竹童のごとく、
軽捷
(
けいしょう
)
で
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう
云
(
い
)
いながら、再び
猿臂
(
えんぴ
)
を延して、瑠璃子の柔かな、やさ肩を
掴
(
つか
)
もうとしたが、
軽捷
(
けいしょう
)
な彼女に、ひらりと身体を避けられると、酒に酔った足元は、ふら/\と二三歩
蹌
(
よろ
)
めいて
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
身体極めて
軽捷
(
けいしょう
)
で、たちまち海上を歩んでかの島に到り、千万苦労してようやく私陀が樹蔭に身の成り行きを歎くを見、また、その貞操を変ぜず、夫を慕い鬼王を
詈
(
ののし
)
るを聴き、急ぎ返って羅摩に報じ
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
平次は何やら掴んでグイと引くと、
一朶
(
いちだ
)
の黒いものが手に残って、曲者はパッと飛びました。恐ろしい
軽捷
(
けいしょう
)
な身のこなし。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
子供のように
軽捷
(
けいしょう
)
には降りられない。
翠
(
みどり
)
の傾斜を下へ沈みかけてゆく彼の姿が、途中から答えていた。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつもの
縞
(
しま
)
の
袷
(
あわせ
)
、素足に草履、若さと
軽捷
(
けいしょう
)
さは申分もありませんが、闇に匂う
艶
(
なまめ
)
かしさは、さすがに痛々しい姿でした。
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
軽捷
(
けいしょう
)
な戦闘隊をまず丘から降ろして、桂川の上下を見張らせ、荷駄、本隊、後軍とつづいた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう一つの特徴は覆面の下から見える左首筋に、小判形の真っ赤な痣のあることと、それから、恐ろしく手の利くことと、身体が人間離れがしているほど
軽捷
(
けいしょう
)
なことです。
銭形平次捕物控:124 唖娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
軽捷
(
けいしょう
)
むひな
伊賀者
(
いがもの
)
ばかりが、百人も
小具足術
(
こぐそくじゅつ
)
の十
手
(
て
)
をとって、雨か、小石かのように、入れかわり立ち
代
(
かわ
)
り、三人の手足にまといついてくるには、
野武士
(
のぶし
)
の大刀などよりも
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父親蔵人は、老人らしくもない
軽捷
(
けいしょう
)
さで、ヒラリと身体をかわすと、
漆
(
うるし
)
のような街の闇に——。
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
張郃はよろこび勇んで、手兵五千騎、みな
軽捷
(
けいしょう
)
を旨とし、飛ぶが如く、敵を追った。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
覚明の大きな体が、あんなにも
軽捷
(
けいしょう
)
なるかと思われるほど、その行動は
迅
(
はや
)
かった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
麻裃
(
あさがみしも
)
を着た口上言いが一人、
月代
(
さかやき
)
と鼻の下に青々と絵の具を塗って、尻下がりの丸い眉を描いておりますが、顔立は立派な方で、身のこなし、物言い、妙に職業的な
軽捷
(
けいしょう
)
なところがあります。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
富家
(
ふうか
)
の
猪
(
いのこ
)
は
脂
(
あぶら
)
に
肥
(
こ
)
え、見かけは強壮らしいが、山野の気性を失って、いつの間にか鈍重になっている。——我には、西境北辺に、連年戦うて、艱苦の
鍛
(
きた
)
えをうけた
軽捷
(
けいしょう
)
の兵のみがある。何を
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山野を駈け馴れている野武士の
軽捷
(
けいしょう
)
には、逃げきれるはずもなかった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
服装は雑多だが、
足拵
(
あしごしら
)
えは、どれを見ても、
軽捷
(
けいしょう
)
に馴れた装いである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後からそれをつけて行った者は
軽捷
(
けいしょう
)
な旅いでたちで、まず
服装
(
なり
)
のいい武芸者という風采、
野袴
(
のばかま
)
を短くはき、
熊谷笠
(
くまがいがさ
)
をかぶり、腰には長めな大小をさし、それは朱色の
自来也鞘
(
じらいやざや
)
であるように見られる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軽
常用漢字
小3
部首:⾞
12画
捷
漢検準1級
部首:⼿
11画
“軽”で始まる語句
軽蔑
軽
軽業
軽々
軽佻
軽忽
軽侮
軽舸
軽業師
軽率