あから)” の例文
何故なぜ今日けふあそばないのだらう、おまへなに小言こごとはれたのか、大卷おほまきさんと喧嘩けんくわでもしたのではいか、と子供こどもらしいことはれてこたへはなんかほあからむばかり
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
顔をあからめてそれを拾はうとする時に、うしろから来た人はかゞんだ平井の身体からだを押したのでひよろひよろとした。
御門主 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
胸に思うてゞ御座りませうが如何いかなることか此忠兵衞におはなしを如何どうぞなされて下されませとほしさゝれて長三郎はつと計にかほあからめ面目なげに見えけるが漸々にしてかうべを下げ和郎そなた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
美奈子は、一寸ちょっと顔をあからめながら何気ないように女中に云った。女中は黙っていて来た。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
こうした時、ぽんと肩でも叩かれたら、私は恐らく顔をあからめたであろう。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
先輩の一言に手塚は顔をあからめてだまった。その日から練習をはじめた。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
大卷さんと喧嘩でもしたのでは無いか、と子供らしい事を問はれて答へは何と顏のあからむばかり
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
父にそう突き込まれると、白痴相当に、勝彦は顔をあからめて、口ごもりながらった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
瑠璃子に、さう問ひ詰められると、勝彦は顔をあからめながら、モジ/\してゐた。もし勝彦が、聡明な青年であつたならば、簡単に率直に、しかも貴夫人を救つた騎士ナイトのやうに勇ましく
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
はるゝにこたへんとすればあかつきかねまくらにひびきてむるほかなきおもゆめとりがねつらきはきぬ/″\のそらのみかはしかりし名残なごり心地こゝちつねならず今朝けさなんとせしぞ顔色かほいろわろしとたづぬるはゝはそのことさらにるべきならねどかほあからむも心苦こゝろぐるひるずさびの針仕事はりしごとにみだれそのみだるゝこゝろひとゞめていま何事なにごとおも
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それでも、瑠璃子の顔を見ると、少し顔をあからめながら、ニタリと笑った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)