貴僧あなた)” の例文
(急に低くなりますから気をつけて。こりゃ貴僧あなたには足駄あしだでは無理でございましたかしら、よろしくば草履ぞうりとお取交とりかえ申しましょう。)
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白「道徳高き名僧智識は百年先の事を看破みやぶるとの事だが、貴僧あなたの御見識誠に恐れ入りました、きましてわたくしが済まない事が出来ました」
「それはお安いことです。幸吉は今使いに参っておりませんが、いたずらにやった鼠がお目に留まって貴僧あなたに望まれて行けば何より……」
それからまた貴僧あなたがインドへ行かれてこちらへ確かに帰って来るという証拠人しょうこにんを立てなければならぬ。その証拠人は容易な事では立てられぬ。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「お上人様、つかぬ事をお訊き申すやうですが、たつた今貴僧あなた様は障子の桟を撫でて、それをお嘗め遊ばした。あれは何のお蠱でございます。もしや、食中毒しよくあたりの……」
一伍一什いちぶしじふ物語り右に付私し儀主人しゆじんの身代り御仕置に相成樣願しかど夫さへ御取上とりあげなければ此上は何卒貴僧あなた樣の御慈悲御情おなさけで九助が一命御助おんたすけ成れて下さらばまことに有難う御座りますと申せば可睡齋すゐさいきゝてイヤ佛道ぶつだうは人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
貴僧あなたは何方へ」
貧乏神物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
きふひくくなりますからをつけて。こりや貴僧あなたには足駄あしだでは無理むりでございましたか不知しらよろしくば草履ざうりとお取交とりかまをしませう。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私はこの堂へ泊りましたが、その堂のもりして居る坊さんはいかにも貪慾な人らしく、私の顔を見て言いますには、貴僧あなたはどうも一通りの人でない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
孝「へい、わたくしは水道端へ参りまするが、貴僧あなたうしてそれを御存じ、不思議な事でございます」
貴僧あなた、おそばに居て汗臭あせくそうはござんせぬかい、とんだ暑がりなんでございますから、こうやっておりましてもこんなでございますよ。)
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
宿屋のあるじは変に思ったようです。「それでは貴僧あなたは何ですか。法王の僧官で居らっしゃるですか。」「いやそうではない。ただセラのお寺に居るだけである」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
相「わたくしは最早五十五歳になりまするから、どう成っても宜しいが、貴僧あなた孝助は大事な身の上、ことに大事を抱えて居りまする故、どうか一つあなたお助け下さいませんか」
「それではおいとまいたしましょう。おさない事を、貴僧あなたにはお恥かしいが、明さんに一式のお愛相あいそに、手毬をついて見せましょう、あの……」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
花「なにしろ縄を解いて上げましょう、貴僧あなた何処どこの人だえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴僧あなたはほんとうにお優しい。)といって、われぬ色を目にたたえて、じっと見た。わしこうべれた、むこうでも差俯向さしうつむく。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これにゃ、みんな貴僧あなた茶釜ちゃがまの中へ紛れ込んでたたるとか俗に言う、あの蜥蜴とかげ尻尾しっぽの切れたのが、行方知れずになったより余程よっぽど厭な紛失もの。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
えりと言わず、肩と言わず、降りかかって来ましたが、手を当てる、とべとりとして粘る。いでみると、いや、貴僧あなた、悪甘い匂と言ったら。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貴僧あなた真個ほんとうにおやさしい。)といつて、はれぬいろたゝへて、ぢつとた。わしかうべれた、むかふでも差俯向さしうつむく。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴僧あなた、こゝからりるのでございます、すべりはいたしませぬがみちひどうございますからおしづかに、)といふ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さくらはなるのをかぞへ、てふつばさんで、貴僧あなたわたし順々じゆん/\に。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「おきやくなれば貴僧あなたから、」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)