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だれかれ
ふりがな文庫
“
誰彼
(
だれかれ
)” の例文
「ほんとに、どうしてああ
誰彼
(
だれかれ
)
なしに寄せつけながら、その癖、自分の振舞いにちゃんと節度を保つことが出来るのでしょうね。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
其頃
(
そのころ
)
の
宗助
(
そうすけ
)
は
今
(
いま
)
と
違
(
ちが
)
つて
多
(
おほ
)
くの
友達
(
ともだち
)
を
持
(
も
)
つてゐた。
實
(
じつ
)
を
云
(
い
)
ふと、
輕快
(
けいくわい
)
な
彼
(
かれ
)
の
眼
(
め
)
に
映
(
えい
)
ずる
凡
(
すべ
)
ての
人
(
ひと
)
は、
殆
(
ほと
)
んど
誰彼
(
だれかれ
)
の
區別
(
くべつ
)
なく
友達
(
ともだち
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
伊藤は三日にあげず店に来て、信仰友だちである店員の山本や家人の
誰彼
(
だれかれ
)
に、宗教上の話をして帰って行くのであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「なんや、あれが馬鹿野郎いうのかいな。」と一人が、ひひと笑うと、連れて
誰彼
(
だれかれ
)
がまたどっと
囃
(
はや
)
し立てた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
ある時は同宿の
誰彼
(
だれかれ
)
の可愛らしい子供達をのせては、彼の少年時代の「風と波と」の唱歌を、声高らかに歌いながら、鏡の様な水面に、サッサッとオールを入れた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
暮方より同じ漁師仲間の
誰彼
(
だれかれ
)
寄り集いて、端午の祝酒に酔うて唄う者、踊る者、
跂
(
はね
)
る者、根太も踏抜かんばかりなる騒ぎに紛れて、
密
(
そつ
)
と
汀
(
みぎわ
)
に抜出でたる若き男女あり。
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
このおぢいさんは、大そうえらい人だつたと、私の子供のじぶん、
誰彼
(
だれかれ
)
にいひきかされました。
私の祖父
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
その頃私は
肺尖
(
はいせん
)
を悪くしていていつも身体に熱が出た。事実友達の
誰彼
(
だれかれ
)
に私の熱を見せびらかすために手の握り合いなどをしてみるのだが、私の掌が誰のよりも熱かった。
檸檬
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
いつもは男子絶対
禁制
(
きんせい
)
の婦人浴場だったけれど、
誰彼
(
だれかれ
)
の差別なく、入口から
雪崩
(
なだ
)
れこんだ。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けれど納まらないのは、同じ年頃の生意気ざかりが同室している小姓部屋の
誰彼
(
だれかれ
)
である。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長兄は秋田の第十七聯隊から出征し、
黒溝台
(
こくこうだい
)
から
奉天
(
ほうてん
)
の方に転戦してそこで負傷した。その頃は、あの村では
誰彼
(
だれかれ
)
が戦死した。この村では誰彼が負傷したといふ
噂
(
うはさ
)
が毎日のやうにあつた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
すると、松山さんが、「ほう、
大坂
(
ダイハン
)
はそんなに、女子選手の
通
(
つう
)
なんか」といったので、皆、笑いだしたけれど、ぼくには、そのときの、
誰彼
(
だれかれ
)
の皮肉な目付が、ぞっとするほど、
厭
(
いや
)
だった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それまで主人の知己の
誰彼
(
だれかれ
)
が外国から女を連れて帰られて、その扱いに難儀をしていられるのもあるし、残して来た先方への送金に、ひどくお困りなさる方のあることなども聞いていたものですから
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
佐助どんも
可哀
(
かわい
)
そうだし第一こいさんのためにならぬと女中の
誰彼
(
だれかれ
)
が見るに見かねて稽古の現場へ割って
這入
(
はい
)
りとうさんまあ何という事でんの
姫御前
(
ひめごぜ
)
のあられもない男の
児
(
こ
)
にえらいことしやはりまんねんなあと止めだてでもすると春琴はかえって
粛然
(
しゅくぜん
)
と
襟
(
えり
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
写真は奇体なもので、先づ人間を知つてゐて、その方から、写真の
誰彼
(
だれかれ
)
を
極
(
き
)
めるのは容易であるが、その
逆
(
ぎやく
)
の、写真から
人間
(
にんげん
)
を定める方は
中々
(
なか/\
)
六づかしい。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
叔父と千代さんとの関係は、円光寺にも村の
誰彼
(
だれかれ
)
にも私の祖父母たちにも知られていた。だが円光寺の和尚さんも、私の祖父母たちも、別にそれをやかましくは言わなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
一瞬の後には消えてゆくと極まった身というものは、思いの他、心やすい気がするのであったが、ふと、思いを妻の上に
馳
(
は
)
せ、臣下の者の
誰彼
(
だれかれ
)
にめぐらすと、卒然と、五体が涙に
溺
(
おぼ
)
れる気がした。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前の夜、あなたに言い足りなかった
口惜
(
くや
)
しさで、
珍
(
めずら
)
しく朝から晩まで飲んでいました。そのうち
酔
(
よ
)
っ
払
(
ぱら
)
ってしまって、船の酒場に入ってくる
誰彼
(
だれかれ
)
なしを取っ
掴
(
つか
)
まえては、
管
(
くだ
)
をまき
盃
(
さかずき
)
を
強
(
し
)
いていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
道では、逢う
誰彼
(
だれかれ
)
が、挨拶をして行った。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
実際先生は時々昔の同級生で今著名になっている
誰彼
(
だれかれ
)
を
捉
(
とら
)
えて、ひどく無遠慮な批評を加える事があった。それで私は露骨にその矛盾を挙げて
云々
(
うんぬん
)
してみた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
翌日
(
あくるひ
)
宗助
(
そうすけ
)
は
役所
(
やくしよ
)
へ
出
(
で
)
て、
同僚
(
どうれう
)
の
誰彼
(
だれかれ
)
に
此
(
この
)
話
(
はなし
)
をした。すると
皆
(
みな
)
申
(
まを
)
し
合
(
あは
)
せた
樣
(
やう
)
に、
夫
(
それ
)
は
價
(
ね
)
ぢやないと
云
(
い
)
つた。けれども
誰
(
だれ
)
も
自分
(
じぶん
)
が
周旋
(
しうせん
)
して、
相當
(
さうたう
)
の
價
(
ね
)
に
賣拂
(
うりはら
)
つてやらうと
云
(
い
)
ふものはなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その郷里の
誰彼
(
だれかれ
)
から、大学を卒業すればいくらぐらい月給が取れるものだろうと聞かれたり、まあ百円ぐらいなものだろうかといわれたりした父は、こういう人々に対して、外聞の悪くないように
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
誰
常用漢字
中学
部首:⾔
15画
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
“誰彼”で始まる語句
誰彼時