)” の例文
郊外生活の地続き、猫の額ほどな空地あきちに十歩の春をたのしまうとする花いぢりも、かういふてあひつてはなにも滅茶苦茶に荒されてしまふ。
貴女あなたをおうたがまをすんぢやない。もと/\ふうれて手紙てがみですから、たとひ御覽ごらんつたにしろ、それふのぢやありません。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この重い動かぬ体を動かすことは? いや出来ようが出来まいが、何でもでも動かねばならぬ、仮令たとえ少しずつでも、一時間によし半歩ずつでも。
成程なるほどそれも一説だが、けれども和蘭人が何もも一々飜訳するものじゃない。僕は先頃せんころ横浜にいっあきれて仕舞しまった。この塩梅あんばいではとても蘭学は役に立たぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
雪江さんの言草が可笑おかしかったばかりじゃない。実は胸に余る嬉しさやら、何やらやら取交とりまぜて高笑いしたのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「若旦那のお供をして参りましたから斯様な目に逢いましたので、御検死沙汰から何やや貧乏の中で仕様が有りませんから、私は死ぬよりほかに仕様が有りません」
貴嬢あなただから何ももお話しますがネ——矢張有るんですよ——つまり、私の不束ふつつか故に、良人をつとに満足を与へることが、出来ないのですから、罪は無論私にありますけれど
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
又人生に社会的価値ヴァリューとも名づくべきもの之れ有りとせば、其は長寿に在るのではなくて、其人格と事業とが四囲及び後代に及ぼす感化・影響の如何に在りと信じて居た、今もく信じて居る。
死生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
「狗だつて、そんなら飼主から肉代を弁償させるまでの事さ。」判事は何でもでも法律で押し通したいらしかつた。「そんな狗を飼ふなんてしからん事だ。」
尤も許しさえしたら、何もほって置いて匇々さっさと帰るかも知れぬが、兎も角も職分だけはく尽す。
周旋とりもっもらッて課長さんに取入ッて置きゃア、仮令よしんば今度の復職とやらは出来ないでも、また先へよって何ぞれぞれお世話アして下さるまいものでも無いトネー、そうすりゃ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今にも貴嬢あなた打擲ちやうちやくなさるかと、お側に居る私さへ身がふるひました——それに奥様の悪態を御覧遊ばせ、恩知らずの、人非人にんぴにんの、なんのと、ても口にされる訳のものでは御座いませぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
長「いえ、お前が全くう云う心ならば、わしは親父に話をするよ、お前は大変親父の気に入ってるよ、どうも沈着おちつきがあって、器量と云い、物の云いよう、何やれは別だと云って居るよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
南画にはまだ解らないところもたんとあつたが、女の事だけは何もも大抵知り抜いた積りでゐた。
先月は都合が悪くて送金しなかったから、せめて此内十円だけは送ろうと、紙入の奥に別に紙に包んで入れて置いたのが、お糸さんの事や何ややに取紛とりまぎれてまだ其儘になっている。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今は成り果てて仕舞ひました、何だだと取られるものは多くなる、れる作物ものに変りは無い、其れで山へも入ることがならねい、草も迂濶うつかりることがならねい、小児こどもは学校へらにやならねい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
甲「此の筆なるものゝ父は長らく病中夜分よるもおち/\眠りもせずに看病を致して、何もも売尽し、其の日に迫って袖乞に迄出る事を支配をも致しながら知らん事は有るまい、全く存ぜずに居ったか」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
若し然うなったら……と目をいて夢を見ていたのも昨日きのうや今日の事でないから、何でもでも東京へ出たいのだが、さて困った事には、珍しくもない話だけれど、金の出処でどころがない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「いや御尤もの事で。」と質問者きゝてはそれだけでなにも飲み込めたらしい悧巧さうな顔をした。「してみますと、議会での大演説などは、お支度になかなかお手間が取れる事でせうな。」
「お宅に通ふのが知れると、直ぐなんのと言ひ触らされるんですからね。」