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荊
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いばら
ふりがな文庫
“
荊
(
いばら
)” の例文
それはあたかも燃ゆる
荊
(
いばら
)
に似ていた。そしてこの燃えたつ盆地のまん中から、種子と日光とに酔った一羽の
雲雀
(
ひばり
)
が舞い上がっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
反絵の身体は訶和郎の胸に飛びかかった。訶和郎は地に倒れると、
荊
(
いばら
)
を
毮
(
むし
)
って反絵の顔へ投げつけた。一人の兵士は鹿の死骸で訶和郎を打った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
一議
(
いちぎ
)
に及ばず、
草鞋
(
わらじ
)
を上げて、道を左へ
片避
(
かたよ
)
けた、足の底へ、草の根が
柔
(
やわらか
)
に、
葉末
(
はずえ
)
は
脛
(
はぎ
)
を隠したが、
裾
(
すそ
)
を引く
荊
(
いばら
)
もなく、
天地
(
てんち
)
閑
(
かん
)
に、虫の
羽音
(
はおと
)
も聞えぬ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼等の精神的奴隷たちは、——肉体だけ
逞
(
たくま
)
しい兵卒たちはクリストに
荊
(
いばら
)
の
冠
(
かんむり
)
をかむらせ、紫の
袍
(
ほう
)
をまとはせた上、「ユダヤの王安かれ」と叫んだりした。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ことに雨のふる
夜更
(
よふ
)
けなどに養家において来た二人の子供のことを
憶
(
おも
)
い出すと、
荊
(
いばら
)
で
鞭打
(
むちう
)
たるるように心が痛み、気弱くも
枕
(
まくら
)
に涙することもしばしばであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
夜だから見えないが、昼間はよくわかる、あの、灌木や
荊
(
いばら
)
がからみあって繁っている高い崖下へである。
父
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
そして
荊
(
いばら
)
の
冠
(
かんむり
)
を戴いてゐるクリストの肖像を見上げた。「主よ。お助け下さい。主よ。お助け下さい。」
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
今の世界に居て人生誰か自国を愛せざる者あらんや。国のためとあれば
荊
(
いばら
)
に坐し
胆
(
たん
)
を
嘗
(
な
)
むるも
憚
(
はばか
)
らざるは人情の常なり。内行を慎むが如き、非常の辛苦にあらず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それは僕には分らない。僕は
荊
(
いばら
)
を負うことを辞せない。
平蜘蛛
(
ひらぐも
)
になってあやまる。どうぞ書いてくれ給え
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして出口の方へ
行
(
ゆ
)
こうとして、ふと壁を見ると、今まで気が附かなかったが、あっさりした額縁に
嵌
(
は
)
めたものが今一つ懸けてあった。それに
荊
(
いばら
)
の
輪飾
(
わかざり
)
がしてある。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
次に上帝
驢
(
ろ
)
を招き、汝は苦労せにゃならぬ、すなわち、常に重荷を負い運び、不断
笞
(
むち
)
うたれ叱られ、休息は
些
(
ちと
)
の間で
薊
(
あざみ
)
や
荊
(
いばら
)
の粗食に安んずべく、寿命は五十歳と宣う。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「アリョーシャ」を創造したドストエフスキーは一生の
荊
(
いばら
)
の道の後に於て遂に自らの魂に安息を与へ得た唯一の異例の作家であると考へたのだ。私も自分の聖者が描きたい。
悲願に就て:――「文芸」の作品批評に関聯して――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
街の悪童の
漫罵
(
まんば
)
の中に、
泥酔
(
でいすい
)
した父親を背負って帰る屈辱感が、ベートーヴェンの負けじ魂を一層
頑
(
かたくな
)
なものにし、
荊
(
いばら
)
の道を渋面作って踏み破る最初のスタートになったのであろう。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
最後に第四編(燃ゆる
荊
(
いばら
)
、新らしき日)は、人生のさなかにおける大試錬であり、懐疑と暴虐な情熱の突風であり、魂の暴風雨であって、それはすべてを破壊しつくす恐れがあるが
ジャン・クリストフ:02 改訳について
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
そのあたりは松の木や
荊
(
いばら
)
が生い茂っている。神尾主膳が本通りを甲府へ帰りついた時分に、大泉寺の鐘が九ツを打ちました。その時分にこの古城のところを机竜之助が歩いていました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その
旺
(
さかん
)
な情熱と肉体とは、女性との恋愛問題とぶつかって、死ぬか、生きるかの——肉体的にも精神的にも、まったく、
荊
(
いばら
)
と暗黒のなかに立って、どう行くべきか、僧として、人間として
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われはさる説法のためにこゝに來しにはあらず。われは
市長
(
ボデスタ
)
一家の使節なり。おん身の伺候を
懈
(
おこた
)
ること三日なりしは、ロオザに聞きつ。何といふ
亡状
(
ぶじやう
)
ぞや。
疾
(
と
)
く往きて
荊
(
いばら
)
を負ひて罪を謝せよ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夜だから見えないが、昼間はよくわかる、あの、
灌木
(
かんぼく
)
や
荊
(
いばら
)
が
搦
(
から
)
み合って繁っている高い崖下へである。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
茅屋
(
ぼうおく
)
のほとりにある大きな枯れた
叢
(
くさむら
)
は、長い年代のために消えてしまってる燃ゆる
荊
(
いばら
)
であった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
掬
(
すく
)
ふやうにして手づから
燻
(
いぶ
)
した落葉の中に
二枚
(
ふたひら
)
ばかり
荊
(
いばら
)
の葉の
太
(
いた
)
く湿つたのがいぶり出した、胸のあたりへ煙が弱く、いつも
勢
(
いきおい
)
よくは
焚
(
た
)
かぬさうで
冷
(
つめた
)
い灰を、
舐
(
な
)
めるやうにして
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
二、燃ゆる
荊
(
いばら
)
。三、新らしき日。
ジャン・クリストフ:02 改訳について
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
後
(
うしろ
)
に立つた
一本
(
ひともと
)
の
榛
(
はん
)
の
樹
(
き
)
に、
荊
(
いばら
)
の実の赤き上に、
犇々
(
ひしひし
)
と
縛
(
いまし
)
められたのである。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「炉の中の
荊
(
いばら
)
の葉が、かち/\と鳴つて燃えると、雨は上るわいなう。」
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
荊
漢検準1級
部首:⾋
9画
“荊”を含む語句
荊棘
荊州
荊蕀
荊与棘塞路
荊襄
荊莿
荊軻
荊妻
荊棘何無情
荊楚
荊山
荊榛
荊陜
魚住荊石
蔓荊
荊門
荊莽
蔓荊子
荊楚歳時記
荊棘路
...