若衆わかいしゆ)” の例文
きちさんとふのは地方町ぢかたまちの小学校時代の友達で、理髪師とこやをしてゐる山谷通さんやどほりの親爺おやぢの店で、れまで長吉ちやうきちの髪をかつてくれた若衆わかいしゆである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
自分ばかりが博識ものしりがるものなり、菊塢きくう奥州おうしうよりボツト出て、堺町さかひてう芝居茶屋しばゐぢやや和泉屋いづみやかんらうかた飯焚めしたきとなり、気転きてんくより店の若衆わかいしゆとなり、客先きやくさき番附ばんづけくばりにも
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
お前も知つてる通り筆屋の店へ表町の若衆わかいしゆが寄合て茶番か何かやつたらう、あの時己れが見に行つたら、横町は横町の趣向がありませうなんて、おつな事を言ひやがつて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
富士同者イヤ若衆わかいしゆ夫は大きな了簡違れうけんちがひ誰しもわかい時は一日に迫詰せりつめ然樣さういふ氣にもなる者一體此方の國は何處で名は何とゝ聞かれ九郎兵衞は口から出任せ我が家にはきん茶釜ちやがまあるやう大層たいそう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ノロ勘の朋輩の若衆わかいしゆが、無駄口を戦はしてゐる理髪師の店にも、おのづと見舞ふ事が稀になつたが、其頃の事、源助さんの息子さんだといふ、親に似ぬ色白の、背のすらりとした若い男が
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
煉瓦職人は皆威勢の好い石灰いしばひだらけの若衆わかいしゆ達で、先方さきから言葉を掛けた
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
そこでなかのいい若衆わかいしゆと娘つ子のひそひそばなしを聞かせられてゐる
若衆わかいしゆから小僧こぞういたるまでみなニコ/\した愛嬌あいけうのあるものばかり。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あとでいたとき直樣すぐさまかへしにかうとつたら、親父とつさんにあたまから小言こゞとつて其時そのとき泣寢入なきねいり一昨年おととしはそらね、おまへつてるとほ筆屋ふでやみせ表町おもてまち若衆わかいしゆ寄合よりあつ茶番ちやばんなにかやつたらう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先方さきは町内の若衆わかいしゆどもまで尻押しりおしをして、ひがみでは無し長吉が負けを取る事罪は田中屋がたに少なからず、見かけて頼まれし義理としても嫌やとは言ひかねて信如、それではお前の組に成るさ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
先方さき町内てうない若衆わかいしゆどもまで尻押しりおしをして、ひがみでは長吉ちようきちけをことつみ田中屋たなかやがたにすくなからず、かけてたのまれし義理ぎりとしてもやとはひかねて信如しんによれではおまへくみるさ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あとで聞いた時に直様じきさま仕かへしにかうと言つたら、親父とつさんに頭から小言こごとつてその時も泣寐入なきねいり一昨年おととしはそらね、お前も知つてる通り筆屋の店へ表町の若衆わかいしゆ寄合よりあつて茶番か何かやつたらう
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)