花粉くわふん)” の例文
やはらかさに滿たされた空氣くうきさらにぶくするやうに、はんはなはひら/\とまずうごきながらすゝのやうな花粉くわふんらしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
地気上騰のぼること多ければてん灰色ねずみいろをなして雪ならんとす。くもりたるくも冷際れいさいいたまづ雨となる。此時冷際の寒気雨をこほらすべきちからたらざるゆゑ花粉くわふんしてくだす、これゆき也。
は大きな花のうへに落ちてゐる。代助はこゞんで、花のなかのぞき込んだ。やがて、ひよろ長い雄ずゐいたゞきから、花粉くわふんを取つて、雌蕊しずゐさきへ持つてて、丹念たんねんけた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
南蛮絵の渡来も花粉くわふんの飛びてくるおもむきなしていつしかにあり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
きやすき花粉くわふんのしめりのごとく
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼等かれら玉蜀黍たうもろこしがざわ/\とめうこゝろさわがせて、花粉くわふんにほひがさらこゝろあるもの衝動そゝはたけあひだくとては
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
湿しめつた褐色かちいろ花粉くわふん
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
やはらかなかぜすゞしくいてまつ花粉くわふんほこりのやうにしめつたつちおほうて、小麥こむぎにもびつしりとかびのやうなはないた。百姓ひやくしやうみな自分じぶん手足てあし不足ふそくかんずるほどいそがしくなる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)