たい)” の例文
うであるなら、其れは昔の社会が男子のみで成立つて居ると思ふ迷信の致す所である。世に婦人のたいより生れない偉人があらうか。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
しかれ彼等を生んだたいは、——大いなる民衆は滅びない。あらゆる芸術は形を変へても、必ずそのうちから生まれるであらう。
闇中問答 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし児供こどもたいでて初声うぶごえを挙げるのを聞くと、やれやれ自分は世界の男の何人だれもよう仕遂しとげない大手柄をした。女という者の役目を見事に果した。
産屋物語 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
鬱蒼うっそうにつつまれて一体の静かな山をしていても、そのたいには火を抱いて天地に怒りやすい性情をそなえている。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われはこれ天使の愛なり、われらの願ひの宿やどなりしたいよりいづるそのたふとき悦びを我今めぐる 一〇三—一〇五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
自分で自分の中の女なるものに向って換骨かんこつママたいの手術を施して、もはや自分の理想通りのもの、弱からず、恥かしめられず、強健な精神肉体をち得たつもりでいた私
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「何とてたいより出でし時に気息いき絶えざりしや……しからば今は我れして安んじかつ眠らん」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
私の美に対する情熱が娘に対する情熱とたいを共にした双生児だったことが確かに信じられる今、私は窃盗に近いこと詐欺に等しいことをまだ年少だった自分がその末犯したことを
橡の花 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
伏して念う、某、殺青さつせいを骨となし、染素せんそたいと成し墳壟ふんろうに埋蔵せらる、たれようを作って用うる。面目機発、人に比するにたいを具えてなり。既に名字めいじの称ありて、精霊しょうりょうの異にとぼしかるべけんや。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
汝等を生まむとして開きたる母のたいはづかしむるなかれ。
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
もれたる、はかりしれざるゆめを、たいさけびを。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ゲアのたいからも、あんなのは二人と生れまい。
さはあれ、うるほへるたい園生そのふ
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
たいよりるるはあらむ。
薄紗の帳 (旧字旧仮名) / ステファヌ・マラルメ(著)
産を失い子女ことごとく死せし時も彼は「われはだかにて母のたいでたりまた裸にてかしこに帰らん、エホバ与えエホバ取り給う、エホバの御名みなむべきかな」(一の二一)といい
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
伏して念う、某、殺青さっせいこつとなし、染素せんそたいと成し、墳壠ふんろうに埋蔵せらる。是れ誰かようを作って用うる。面目機発きはつ、人に比するに体を具えて微なり。既に名字の称ありて、精霊の異に乏しかるべけんや。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
たれもひとしきおごそかおもひたいあふれてむねに滿つるを……
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
たいでて早くもいし顔する駱駝らくだの子のごと
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
濁れるたいのものはらおとともなしに
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
滿ちてもゆくかたいの月、——
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
始めたいを受けしより
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は「我れはだかにて母のたいでたりまた裸にてかしこに帰らん、エホバ与えエホバ取り給う、エホバの御名はむべきかな」と言いて「この事においてヨブは全く罪を犯さず神に向いておろかなる事を ...
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
たいこそはむべきかな、なやみてこれを養ふ。
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
波もなきたいのにほひの水のおも
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
みごもりみちぬたいの月。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
おまへは母のたいに居て
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)