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繁榮
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はんえい
摺合茶屋々々の二階には糸竹の調べ
皷太皷の
音絶る事なく
幇間の
對羽織に
色増君の全盛を
顯はし其
繁榮目を驚せし
浮生は夢の如く
白駒の
隙あるを
書物讀み弟子二十人計に相成、至極の
繁榮にて、鳥なき
里の
蝙蝠とやらにて、朝から晝迄は
素讀、夜は講釋
共仕而、學者之
鹽梅にて
獨笑しく御座候。
營むが
上に
彼れは
本家とて
世の
用ひも
重かるべく
我とて
信用薄きならねど
彼方に
七分の
益ある
時こゝには
僅かに
三分の
利のみ
我が
家繁榮長久の
策は
彼れ
松澤の
無きにしかず
且つは
娘の
容色世に
勝れたれば
是とても
又一つの
金庫芳之助とのえにし
絶えなば
通り
町の
角地面持參の
聟もなきにはあらじ
一擧兩得とはこれなんめりと
思ふ
心は
立後世迄も
美名を
海内に
輝かし子孫の
繁榮を
遺すは
最有難き事共なり