ぐさ)” の例文
けれど石舟斎は、そのうわさはやがて柳生谷に聞えて人々の語りぐさとなっても、ただ暗然とするのみで、すこしも歓ぶ色は見せなかった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつだったか近所に火事があったとき、良人がこの梅干の小壺を抱えてうろうろしていた恰好があとあとまで笑いぐさになった。
茶粥の記 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
さりとて僕にはヌケヌケとスタンダールのメチルド式の言いぐさをたのしむほどの度胸はないし、過去などはみんな一片の雲になって、然し
青春論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「だから、家の中に主人を殺す者があれば、あの妾のお源が一番怪しいと——これは下女のお曾根そね婆さんの言ひぐさですよ」
たまにちよつとした動きでも感じると、珍らしがつて数日の話しぐさにはなるが、直ぐに何もかも忘れられて了ふ。
これくら七戸前ななとまえめた口で、何だい、その言いぐさは、こう源坊、若いうちだぜ、年紀としは取るもんじゃあねえの。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もしや夢ではなかったかと云う一種の疑惑うたがいで、迂濶うかつつまらぬ事を云い出して、とんだお笑いぐさになるのも残念だと、の日は何事も云わずにしまったが、う考えても夢ではない
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
奴らのぐさよりもっとうまい理窟が、すなわちそのお手本がこれに出ている。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
かかぬしは神棚へささげて置いてもいとて軒並びのうらやみぐさになりぬ。
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それに氣がつきや確かだ。不動樣に罪をなすつた野郎は今頃はニヤニヤしてゐるかも知れないが。飛んだお笑ひぐさだ」
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「大都督にはどうしてそう孔明を虎の如く恐れ給うか、天下のわらぐさになろうに」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かゝぬし神棚かみだなへさゝげていてもいとて軒並のきならびのうらやみぐさになりぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大物ぶった言いぐさというより、俺としては恩にきせる気持だった。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
と主税はその言いぐさが憎いから、ますます買う気は出なくなる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それに気がつきゃ確かだ。不動様に罪をなすった野郎は今頃はニヤニヤしているかも知れないが。とんだお笑いぐさだ」
銭形平次捕物控:130 仏敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
又八の現在やら、以前の身の上ばなしなど、その途々みちみち、何かとかたぐさになった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
抱へ主は神棚へさゝげて置いても宜いとて軒並びの羨みぐさになりぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひとを馬鹿にしたような言いぐさが俺はしゃくにさわったが
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「そいつが一つでもあつたらお笑ひぐさだ。この月になつてから、雨も雪も一度も降らない上に、あの邊は家が建て込んでゐるから、ろくな霜柱も立たねエ」
でつ漸々やう/\東京こゝへはきしもの當處あてどなければ御行衛おゆくゑさらるよしなく樣々さま/″\艱難かんなん御目おめにかゝるをりめられぐさにとつはこゝろたのしみつゝいやしい仕業しわざきよおこなひさへがれずばと都乙女みやこおとめにしきなか木綿衣類もめんぎもの管笠すげがさ脚袢きやはん
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「そいつが一つでもあったらお笑いぐさだ。この月になってから、雨も雪も一度も降らない上に、あの辺は家が建て込んでいるから、ろくな霜柱も立たねエ」
そのおびんづる金太親分の言ひぐさしやくぢやありませんか——世間ぢや江戸の岡つ引は錢形の親分たつた一人のやうに言ふが、お膝下の鍋町に殺しがあるのに
そのおびんずる金太親分の言いぐさしゃくじゃありませんか——世間じゃ江戸の岡っ引は銭形の親分たった一人のように言うが、お膝下の鍋町に殺しがあるのに
お秀の言いぐさじゃないが、猪之松も人を殺すような人間じゃありません。それに、わざわざ自分が忘れて行った匕首あいくちで、そんなことをする馬鹿もないでしょう。
「その庭下駄が沓脱くつぬぎの上にチヤンと揃へてあるからお笑ひぐささ、——その上に雨戸を外からコジ開けた樣子もないのに、今朝婆やさんが死骸を見付けた時は、ちやんと開いてゐたといふんだ」
「その庭下駄が沓脱くつぬぎの上にチャンと揃えてあるからお笑いぐささ、——その上に雨戸を外からコジ開けた様子もないのに、今朝婆やさんが死骸を見付けた時は、ちゃんと開いていたというんだ」
「お富の言ひぐさで」