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目色
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めいろ
女の
方でもそれと心付いたが春子の前を
憚って、何ともいわず、唯それとなく
目色で
会釈をした。
「そうでござんすね。」と、母親は
椎茸を丼で湯に
浸けていながら、思案ぶかい
目色をした。
おのづと
肩身せばまりて
朝夕の
挨拶も
人の
目色を
見るやうなる
情なき
思ひもするを、
其れをば
思はで
我が
情婦の
上ばかりを
思ひつゞけ、
無情き
人の
心の
底が
夫れほどまでに
戀しいか
少し
御新造は
機嫌かいなれど、
目色顏色を
呑みこんで
仕舞へば
大した
事もなく、
結句おだてに
乘る
質なれば、
御前の
出樣一つで
半襟半がけ
前垂の
紐にも
事は
欠くまじ、
御身代は
町内第一にて
その
儘の
座敷牢縁の
障子の
開閉にも
乳母が
見張りの
目は
離れず
況してや
勘藏が
注意周到翼あらば
知らぬこと
飛ぶ
鳥ならぬ
身に
何方ぬけ
出でん
隙もなしあはれ
刄物一つ
手に
入れたや
處は
異れど
同じ
道に
後れはせじの
娘の
目色見てとる
運平が
氣遣はしさ
錦野との
縁談も
今が
今と
運びし
中に
此こと
知られなば
皆畫餠なるべし
包まるゝだけは