父上ちゝうへ)” の例文
父上ちゝうへなくならば親代おやがはりのれ、兄上あにうへさゝげてかまどかみまつぽん託宣たくせんこゝろならば、いかにもいかにも別戸べつこ御主人ごしゆじんりて、此家このやためにははたらかぬが勝手かつて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
取なといはるゝに忠右衞門殊勝けなげにも然らば父上ちゝうへ御免をかうむり御先へ切腹仕つり黄泉くわうせん露拂つゆはらひ致さんといさぎよくも短刀たんたうを兩手にもち左の脇腹わきばらへ既に突立つきたてんとする折柄をりから廊下らうか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ヂュリ もうし、父上ちゝうへひざをついてねがひまする、たった一言ひとこと堪忍かんにんしていてくだされ。
取計ひ申べくと云ければ伊賀亮此よし披露ひろうに及ぶ簾の中より天一坊は越前目通りゆるすとの言にて簾をきり/\と卷上まきあげ天一坊堂々と越前守にむかひ越前予に對し無禮過言せしは父上ちゝうへの御爲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ヹローナからの音信たよりぢゃ! どうぢゃ、バルターザー! 御坊ごばうからの消息たよりかったか? ひめ如何どうぢゃ、父上ちゝうへ御無事ごぶじか? ヂュリエットはなにとしておゐやる? づ、それをかう
目鼻めはなだちの何處どこやらが水子みづこにてせたる總領そうりやうによくたりとて、いまはなきひとなる地主ぢぬし内儀つま可愛かあいがられ、はじめはお大盡だいじん旦那だんなたつとびしひとを、父上ちゝうへぶやうにりしは其身そのみ幸福しやわせなれども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ヂュリ なに、あの、其方そなたなぐさめで不思議ふしぎこゝろ安堵おちついた。おくて、母樣はゝさまうてたも、父上ちゝうへ御不興ごふきょうけたゆゑ、懺悔ざんげをしてつみゆるしてもらはうとて、ロレンスどのゝ庵室あんじつへわしがんだと。