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ちゝうへ
取計ひ申べくと云ければ伊賀亮此
由披露に及ぶ簾の中より天一坊は越前目通り
許すとの言にて簾をきり/\と
卷上天一坊堂々と越前守に
向ひ越前予に對し無禮過言せしは
父上の御爲を
ヹローナからの
音信ぢゃ! どうぢゃ、バルターザー!
御坊からの
消息は
無かったか?
姫は
如何ぢゃ、
父上は
御無事か? ヂュリエットは
何としておゐやる?
先づ、それを
聞かう
目鼻だちの
何處やらが
水子にて
亡せたる
總領によく
似たりとて、
今はなき
人なる
地主の
内儀に
可愛がられ、はじめはお
大盡の
旦那と
尊びし
人を、
父上と
呼ぶやうに
成りしは
其身の
幸福なれども