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焦茶
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こげちゃ
ふりがな文庫
“
焦茶
(
こげちゃ
)” の例文
敷布団は厚い
郡内
(
ぐんない
)
を二枚重ねたらしい。
塵
(
ちり
)
さえ立たぬ
敷布
(
シート
)
を
滑
(
なめら
)
かに敷き詰めた下から、
粗
(
あら
)
い
格子
(
こうし
)
の黄と
焦茶
(
こげちゃ
)
が一本ずつ見える。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
焦茶
(
こげちゃ
)
と赤の貝の模様です。だめかしら。あたし、趣味が低いのね。でも、口金の所と貝の口の所が、金色で細くいろどられて、捨てたものでもないの。
俗天使
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
船着き場の
桟橋
(
さんばし
)
に建てられたアーチは、
歓送迎門
(
かんそうげいもん
)
の
額
(
がく
)
をかかげたまま、緑の
杉
(
すぎ
)
の葉は
焦茶
(
こげちゃ
)
色に変わってしまった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そのわきには
焦茶
(
こげちゃ
)
色の
粟
(
あわ
)
畑とみずみずしい
黍
(
きび
)
畑がみえ、湖辺の稲田は煙るように光り、北の岡の雑木の緑に朱を織りまぜた
漆
(
うるし
)
までが手にとるようにみえる。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
私達が思わず鼻を覆ったら、車の主の、
焦茶
(
こげちゃ
)
色の僧服みたいなものを着た、ベトウヴェンのような顔の老人がひどく私に make-face のして行った。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
▼ もっと見る
客は五十前後の顔の
赧
(
あか
)
黒く
脂
(
あぶら
)
やけにやけた、金縁の
眼鏡
(
めがね
)
をかけた男で、ずんぐりした体を
被
(
おお
)
うた
焦茶
(
こげちゃ
)
のマントの下から地味な
縦縞
(
たてじま
)
の大島のそろいを
覗
(
のぞ
)
かしていた。
文妖伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何処
(
どこ
)
の
珈琲店
(
カフェー
)
にもある
焦茶
(
こげちゃ
)
の薄絹を張った、細い
煤竹
(
すすだけ
)
の骨の、
帳
(
とばり
)
と
対立
(
ついたて
)
とを折衷したものが、外の出入りの目かくしになって、四鉢ばかりの
檜葉
(
ひば
)
や
槙
(
まき
)
の鉢植えが
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
痩
(
や
)
せて、
小柄
(
こがら
)
で、背丈は五尺そこそこだろうか。
紬縞
(
つむぎじま
)
らしいさっぱりした着物に、角帯をしめ、
秩父
(
ちちぶ
)
物の
焦茶
(
こげちゃ
)
色に荒い縞のはいった、
袖
(
そで
)
なしの
半纏
(
はんてん
)
をひっかけていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
朽葉色
(
くちばいろ
)
、灰、
鼠
(
ねずみ
)
、
焦茶
(
こげちゃ
)
、たゞこれ
黄昏
(
たそがれ
)
の野の如き、霧の
衣
(
ころも
)
を
纏
(
まと
)
うたる、いづれも抜群の巨人である。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
妻は黒いコオトに、
焦茶
(
こげちゃ
)
の絹の襟巻をして居りました。そうして鼠色のオオヴァ・コオトに黒のソフトをかぶっている私に、第二の私に、何か話しかけているように見えました。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
冬は
釜底
(
かまぞこ
)
の
帽
(
ぼう
)
を
阿弥陀
(
あみだ
)
にかぶり、
焦茶
(
こげちゃ
)
毛糸の襟巻、中には樺色の
麁
(
あら
)
い毛糸の手袋をして、雨天には
簑笠姿
(
みのかさすがた
)
で、車の心棒に油を入れた
竹筒
(
たけづつ
)
をぶらさげ、空の肥桶の上に、
馬鈴薯
(
じゃがいも
)
、
甘薯
(
さつまいも
)
の二籠三籠
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
じみな
焦茶
(
こげちゃ
)
の日傘をつぼめて、年の頃は三十近い奥様らしい品のいい婦人が門の戸を明けて内に
這入
(
はい
)
った。髪は無造作に首筋へ落ちかかるように結び、井の字
絣
(
がすり
)
の
金紗
(
きんしゃ
)
の
袷
(
あわせ
)
に、黒一ツ紋の夏羽織。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
控室のほうに、その時ちらりと見えたのは、小がらな男の姿で、大きく
禿
(
は
)
げあがって、
焦茶
(
こげちゃ
)
いろのフロックを着て、長靴の代りにゴム長をはいている。あっと思うまに、
鼠
(
ねずみ
)
のようにちょろりと消えた。
嫁入り支度
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
白茶
(
しらちゃ
)
、
御納戸茶
(
おなんどちゃ
)
、
黄柄茶
(
きがらちゃ
)
、
燻茶
(
ふすべちゃ
)
、
焦茶
(
こげちゃ
)
、
媚茶
(
こびちゃ
)
、
千歳茶
(
ちとせちゃ
)
などがあり、色をもつ対象の
側
(
がわ
)
から名附けたものには、
鶯茶
(
うぐいすちゃ
)
、
鶸茶
(
ひわちゃ
)
、
鳶色
(
とびいろ
)
、
煤竹色
(
すすだけいろ
)
、銀煤色、栗色、栗梅、栗皮茶、
丁子茶
(
ちょうじちゃ
)
、
素海松茶
(
すみるちゃ
)
、
藍
(
あい
)
海松茶
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
急に立ち上った
焦茶
(
こげちゃ
)
の山脈の
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
焦茶
(
こげちゃ
)
の
砂壁
(
すなかべ
)
に、白い
象牙
(
ぞうげ
)
の
軸
(
じく
)
が
際立
(
きわだ
)
って、両方に突張っている、手前に例の木蘭がふわりと浮き出されているほかは、
床
(
とこ
)
全体の
趣
(
おもむき
)
は落ちつき過ぎてむしろ陰気である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
焦茶
(
こげちゃ
)
色の毛の火になるばかり、
悶
(
もだ
)
え
苦
(
くるし
)
むに相違ござらん。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
焦茶
(
こげちゃ
)
の中折が
鴨居
(
かもい
)
を越すほどの高い背を
伸
(
の
)
して、薄暗い廊下のはずれに折目正しく着こなした背広の地味なだけに、
胸開
(
むなあき
)
の狭い
胴衣
(
チョッキ
)
から白い
襯衣
(
シャツ
)
と白い
襟
(
えり
)
が著るしく上品に見える。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
焦
常用漢字
中学
部首:⽕
12画
茶
常用漢字
小2
部首:⾋
9画
“焦茶”で始まる語句
焦茶色
焦茶地
焦茶絞