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海松
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みる
ふりがな文庫
“
海松
(
みる
)” の例文
人家のない岩蔭に、波が砂を洗って、
海松
(
みる
)
や
荒布
(
あらめ
)
を打ち上げているところがあった。そこに舟が二
艘
(
そう
)
止まっている。船頭が大夫を見て呼びかけた。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この
時
(
とき
)
も、
戸外
(
おもて
)
はまだ
散々
(
さん/″\
)
であつた。
木
(
き
)
はたゞ
水底
(
みなそこ
)
の
海松
(
みる
)
の
如
(
ごと
)
くうねを
打
(
う
)
ち、
梢
(
こずゑ
)
が
窪
(
くぼ
)
んで、
波
(
なみ
)
のやうに
吹亂
(
ふきみだ
)
れる。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
海松
(
みる
)
色の海水帽できりりと髪を装ひ、日射しの眩しさを避けるやうに眼眸をおとして、右手に黒い水着を弄びながら、真弓は女学校の前の松並木を海の方へと歩いて行つた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
また其角の句に「
海松
(
みる
)
の香に松の嵐や初瀬山」とあるのも、このへんのこころであろう。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
成程一本のマッチの火は
海松
(
みる
)
ふさや
心太艸
(
てんぐさ
)
の散らかった中にさまざまの貝殻を照らし出していた。O君はその火が消えてしまうと、又新たにマッチを
摺
(
す
)
り、そろそろ浪打ち際を歩いて行った。
蜃気楼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
恐らくは花ならむ海の底の
海松
(
みる
)
の小枝に輝く玉あり輝く玉あり
真珠抄
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
汐あむや瑠璃を斫りたる桂なし
海松
(
みる
)
ぶさささとも
額
(
ぬか
)
ふれにける
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
帯は
海松
(
みる
)
色地に
装束
(
しようぞく
)
切摸
(
きれうつし
)
の
色紙散
(
しきしちらし
)
の
七糸
(
しちん
)
を高く負ひたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
綿もなき 布肩衣の
海松
(
みる
)
の如
日本の美
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
僧都 綾、錦、牡丹、芍薬、
縺
(
もつ
)
れも散りもいたしませぬを、老人の
申条
(
もうしじょう
)
、はや、また
海松
(
みる
)
のように乱れました。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
君やわれや夕雲を見る磯のひと四つの
素足
(
すあし
)
に
海松
(
みる
)
ぶさ寄せぬ
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
さ、其を食べた
所為
(
せい
)
でせう、お
腹
(
なか
)
の皮が
蒼白
(
あおじろ
)
く、
鱶
(
ふか
)
のやうにだぶだぶして、手足は
海松
(
みる
)
の枝の枯れたやうになつて、
漸
(
や
)
つと見着けたのが
鬼
(
おに
)
ヶ
島
(
しま
)
、——魔界だわね。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さ、
其
(
それ
)
を
食
(
た
)
べた
所爲
(
せゐ
)
でせう、お
腹
(
なか
)
の
皮
(
かは
)
が
蒼白
(
あをじろ
)
く、
鱶
(
ふか
)
のやうにだぶだぶして、
手足
(
てあし
)
は
海松
(
みる
)
の
枝
(
えだ
)
の
枯
(
か
)
れたやうになつて、
漸
(
や
)
つと
見着
(
みつ
)
けたのが
鬼
(
おに
)
ヶ
島
(
しま
)
、——
魔界
(
まかい
)
だわね。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
美女 潮風、
磯
(
いそ
)
の香、
海松
(
みる
)
、
海藻
(
かじめ
)
の、
咽喉
(
のど
)
を刺す
硫黄
(
いおう
)
の
臭気
(
におい
)
と思いのほか、ほんに、
清
(
すず
)
しい、
佳
(
い
)
い
薫
(
かおり
)
、(
柔
(
やわらか
)
に袖を動かす)……ですが、時々、
悚然
(
ぞっと
)
する、
腥
(
なまぐさ
)
い香のしますのは?……
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、狸穴、我善坊の辺だけに、引潮のあとの
海松
(
みる
)
に似て、樹林は土地の隅々に残っている。餅屋が構図を飲込んで、スケッチブックを懐に納めたから、ざっと用済みの処、そちこち日暮だ。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(心付く)
不重宝
(
ぶちょうほう
)
。これはこれは
海松
(
みる
)
ふさの袖に記して覚えのまま、
潮
(
うしお
)
に乗って、
颯
(
さっ
)
と読流しました。はて、何から申した事やら、品目の多い処へ、数々ゆえに。ええええ、真鯛大小八千枚。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と辻便所より女乞食、
膚
(
はだえ
)
の色の真白きに、
海松
(
みる
)
のごとき
袷
(
あわせ
)
を
纏
(
まと
)
えば、泥に
塗
(
まみ
)
れし
残
(
のこん
)
の雪。
破草人
(
やぶれかがし
)
の笠を
被
(
かぶ
)
りてよぼよぼと
杖
(
つえ
)
に
縋
(
すが
)
り、
呼吸
(
いき
)
づかい苦しげに——見せ懸けたるのみ、実はしからず。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鑿
(
のみ
)
の歯形を印したる、
鋸
(
のこぎり
)
の
屑
(
くず
)
かと
欠々
(
かけかけ
)
したる、その一つ一つに、白浪の打たで飜るとばかり見えて音のないのは、岩を飾った
海松
(
みる
)
、ところ、あわび、
蠣
(
かき
)
などいうものの、
夜半
(
よわ
)
に吐いた気を収めず
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海松
(
みる
)
ばかり打上げられる、寂しい秋の晩方なんざ、誰の発議だったか、小児が、あの
手遊
(
おもちゃ
)
のバケツを
振提
(
ぶらさ
)
げると、近所の八百屋へ交渉して、
豌豆豆
(
えんどうまめ
)
を二三合……お三どんが風呂敷で提げたもんです。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黒髪も
海松
(
みる
)
となり、胸も
裾
(
すそ
)
も取乱して乳も
露
(
あらわ
)
になって震えている。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“海松(ミル(海藻))”の解説
ミル(海松、Codium fragile)は、海藻(緑藻)の一種。世界の熱帯から温帯の海に広く分布し、浅い海中(干潮線より下)の岩礁上などに生育する。
枝の断面は円形で、規則的に二叉分岐して扇状に広がり、高さ40cmほどになる。色は深緑色。表面はビロード状に見え、触るとざらついている。これは紡錘形の細胞状構造(小嚢)が多数あるためである。小嚢は連続しており、全体が一つの多核体をなしている。
(出典:Wikipedia)
海
常用漢字
小2
部首:⽔
9画
松
常用漢字
小4
部首:⽊
8画
“海松”で始まる語句
海松房
海松布
海松地
海松子
海松色
海松橿媛