ない)” の例文
索搜たづね密々こつそり呼出よびだし千太郎に小夜衣よりの言傳ことづてくはしく語りおいらんは明てもくれても若旦那の事のみ云れて此頃はないてばつかり居らるゝを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
始終子供にばかかかっていれば生活が出来ないから、拠無よんどころなくこのかしつけ、ないたらこれを与えてくれと、おもゆをこしらえて隣家の女房に頼み
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
喧嘩をしなければ怪我もしない、友達と喧嘩をしてないて家にかえっ阿母おっかさんに言告いいつけると云うようなことはただの一度もない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かごとりおなじこと風呂屋ふろやくも稽古けいこごとも一人ひとりあるきゆるされねば御目おめにかゝるをりもなくふみあげたけれど御住所おところたれひもならずこゝろにばかりないないりましたを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひるのうちしきりに寐反ねがえりを打って、シクシクないていたのが、夜にってから少しウツウツしたと思って、フト眼をさますと、僕の枕元近く奥さまが来ていらっしゃって
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
けれどもマリちゃんはじっとすわって、ないていました。するととりんでて、家根やねうえとまった。
などと云つて、僕の手を執つて、何度か接吻キツスしたりするんだぜ。そして君、ぴつたり凭せてゐるその柔かい肩の肉から、ないじやくりが僕の體に傳はつてくる氣持なんてないんだ。
S中尉の話 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
おぢさん「ないてるんぢやない、うれしくてうたつてるんです。ほらあのをすつるがカアつていうとすぐめすつるがカアカアつていうだろう。そら、ね。カア、カアカア、カア、カアカアつてね」
と金を貰ってしくしくないて居りました、此の為体ていたらくを見て一座の男が
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私はこれを見てもそばからひとり立腹してないたことがある。馬鹿々々しい、こんな処に誰が居るものか、如何どうしたってれはモウ出るよりほか仕様しようがないと、始終しじゅう心の中に思て居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
とうさま、あのお金を取りあげておしまひなすつたつて、ないてるんぢやありませんよ。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
のませる者もなくさぞないて居るならん吾助殿能思案は候はずやとなみだながらに物語るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
留守中一回もないた事が無く、しかも肥太こえふとりて丈夫に育つ事、あまりに不思議と、我も思えば人も思い、段々だんだん噂が高くなり、ついには母の亡霊きたりて、乳をのますのだと云うこと、大評判となり家主より
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
とワイ/\ないて居ったのはもあるべき事でございます。
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでは何をないて居るのだ?
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)