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沁々
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しみ/″\
ふりがな文庫
“
沁々
(
しみ/″\
)” の例文
留守宅ではお篠が夫が警察に留られて三日も帰って来ない所在なさを
沁々
(
しみ/″\
)
味わいながら、しょんぼりとしていた。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「世の中が惡くなつた」とかこちながら、浮世の一隅に、氣の利いた口はききながら、心寂しがつてゐる人々の世の中が「戀の日」一卷の中に
沁々
(
しみ/″\
)
と味はれる。
貝殻追放:015 「末枯」の作者
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
しかし今宵の私の心のムウドに
沁々
(
しみ/″\
)
と親みをはこぶものは汝の死である。汝の埋められた
露西亜
(
ロシア
)
の遠い片隅の一寒村の墓地の光景は今もありありと私の前に浮ぶ。
愛は、力は土より
(新字旧仮名)
/
中沢臨川
(著)
自分は、彼の斯んなに
沁々
(
しみ/″\
)
とした様子を見たこともない。何となく自分もしんみりとしてしまつた。
夏ちかきころ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
でも叔母のお常さんに
沁々
(
しみ/″\
)
と意見されて、近頂建具屋の金次さんと一緒になる氣になつてゐたやうで、本人に言はせると——金さんは男つ振りは好いけれど働きがないから
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
危
(
あやふ
)
かつた。危かつた。——婆やの手伝などをしてゐる
面窶
(
おもやつ
)
れした顔を今更見てゐると、娘がまだ/\
飼兎
(
かひうさぎ
)
か何かとさう違ひのないほど、無力無抵抗なことを
沁々
(
しみ/″\
)
と感じるのだ。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
とは
云
(
い
)
へ、
彼
(
かれ
)
に
惡意
(
あくい
)
が
有
(
あ
)
るのでは
無
(
な
)
い。と、ドクトルは
更
(
さら
)
に
又
(
また
)
沁々
(
しみ/″\
)
と
思
(
おも
)
ふたので
有
(
あ
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
サン はて、
身
(
み
)
に
沁々
(
しみ/″\
)
と
感
(
かん
)
じようわい、
俺
(
おれ
)
も
隨分
(
ずゐぶん
)
と
評判
(
ひゃうばん
)
の
女
(
をんな
)
たらしぢゃに
依
(
よ
)
って。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
またその
蒼々
(
あを/\
)
とした
大
(
おほ
)
きな
海
(
うみ
)
を
無事
(
ぶじ
)
にわたり
切
(
き
)
つて、
陸
(
をか
)
からふりかへつてその
海
(
うみ
)
を
沁々
(
しみ/″\
)
眺
(
なが
)
める、あの
氣持
(
きもち
)
つたら……あの
時
(
とき
)
ばかりは
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にかゐなくなつてゐる
友達
(
ともだち
)
や
親族
(
みうち
)
もわすれて
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
此日
(
このひ
)
、
本線
(
ほんせん
)
に
合
(
がつ
)
して
仙台
(
せんだい
)
をすぐる
頃
(
ころ
)
から、
町
(
まち
)
はもとより、
野
(
の
)
の
末
(
すゑ
)
の一
軒家
(
けんや
)
、
麓
(
ふもと
)
の
孤屋
(
ひとつや
)
の
軒
(
のき
)
に
背戸
(
せど
)
に、
垣
(
かき
)
に
今年
(
ことし
)
竹
(
たけ
)
の
真青
(
まつさを
)
なのに、五
色
(
しき
)
の
短冊
(
たんざく
)
、七
彩
(
いろ
)
の
糸
(
いと
)
を
結
(
むす
)
んで
掛
(
か
)
けたのを
沁々
(
しみ/″\
)
と
床
(
ゆか
)
しく
見
(
み
)
た
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
果物を売り歩く女の呼声が
湿気
(
しつき
)
のない晴れ渡つた炎天の
下
(
もと
)
に、長崎は日本からも遠く、支那からも遠く、切支丹の本国からも遠い/\処である事を、
沁々
(
しみ/″\
)
と旅客の心に感じさせるやうに響く。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そしてまだ今もその苦難の爲めに、ともすれば暗くなり過ぎるその心はそれ以上に濃い不可思議なものゝ影は要らないのであつた。そこで私は何も云はずに心の中で
沁々
(
しみ/″\
)
と考へたのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
さうして
沁々
(
しみ/″\
)
した心持になつて次の投書の封を切つた。
歌のいろ/\
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
斯う
沁々
(
しみ/″\
)
新三郎に言はれると、平次も利助も
愧
(
は
)
ぢ入つて言葉もありません。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
先生
(
せんせい
)
は
奥樣
(
おくさま
)
と、
夜晝
(
よるひる
)
、
病床
(
ベツド
)
の
側
(
そば
)
を
離
(
はな
)
れませんでした。そして
身
(
み
)
を
碎
(
くだ
)
いて
看護
(
かんご
)
をなされました。
先生
(
せんせい
)
は「
自分
(
じぶん
)
にかはれるものならば
喜
(
よろこ
)
んで
代
(
かは
)
つてやりたい」と
沁々
(
しみ/″\
)
、その
時
(
とき
)
、わたしに
言
(
ゆ
)
はれました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
「どんなに酷く暴れてゐる最中でも隆さんが入ると恰で猫のやうにおとなしく変つて仕舞ふんだもの。だからお前さんの阿父さんが、彼奴はそらつかひだ、なんて疑つたのも無理はないね。」と
沁々
(
しみ/″\
)
と云つた。
白明
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
もの
静
(
しづ
)
かで、
且
(
か
)
つ
沁々
(
しみ/″\
)
寂
(
さび
)
しい。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
勘三郎が戻つて來ると、平次はそれを一と間に呼んで、何やら
沁々
(
しみ/″\
)
話してをりましたが、やがてもう一度裏へ出て、崖の上から下、井戸端のあたりを、提灯をつけて念入りに調べ始めました。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
冴返
(
さえかへ
)
る
身
(
み
)
に
沁々
(
しみ/″\
)
とほつき
貝
(
がひ
)
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
暫らくすると、動亂する氣持を整理して、お幾は
沁々
(
しみ/″\
)
と言ふのです。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
沁々
(
しみ/″\
)
と言ふのでした。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
沁
漢検1級
部首:⽔
7画
々
3画
“沁”で始まる語句
沁
沁出
沁込
沁透
沁入
沁骨
沁徹
沁拡
沁沁
沁渡