ぐり)” の例文
これが木曾名物の焼きぐりだと言って、なまの栗を火鉢ひばちの灰の中にくべて、ぽんぽんはねるやつをわざとやじりでかき回したげな。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
並背なみぜいにていがぐり頭髮つむりおもひなしかぞくとはかはりて、藤本信如ふぢもとのぶゆきよみにてすませど、何處どこやらしやくといひたげの素振そぶりなり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たいなくとも玉味噌たまみその豆腐汁、心同志どし安らかに団坐まどいして食ううまさ、あるい山茶やまちゃ一時いっとき出花でばなに、長き夜の徒然つれづれを慰めて囲いぐりの、皮むいてやる一顆いっかのなさけ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
僕は大人になっているつもりで、なまいきな口をきいているのに、僕の影法師は、いがぐりの頭の子供なんだ。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてしばをりながら、ふくろれてってたかちぐりして、ばりばりべました。するとたぬきはそのおときつけて、あなの中からのそのそはいしてきました。
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ぬいとあらわれたのは、色の黒い、いがぐりで、しるし半纏ばんてんの上へ汚れくさった棒縞ぼうじま大広袖おおどてらはおった、からすねの毛だらけ、図体はおおきいが、身のしまった、腰のしゃんとした、鼻の隆い
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どんぐりばやしの小道にはいった。右を見、左を見、呼んでみたり、やぶを叩いてゆく。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たもとからおみやげの金鍔きんつばと焼きぐりを出して余のノートを読んでいる机のすみへそっとのせて、便所へはいったがやがて出て来て青い顔をして机のそばへすわると同時に急にせきをして血を吐いた。
どんぐり (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
一年に一度のもちつき、やれ福茶だ、小梅だ、ちょろげだと、除夜からして町家は町家らしく、明けては屠蘇とそを祝え、雑煮ぞうにを祝え、かちぐり、ごまめ、数の子を祝えと言う多吉夫婦と共に
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
きょうも棒切ぼうきれを手にもって、友だち小猿こざるを二、三十ぴきつれ、僧正谷そうじょうがたにから、百足虫腹むかでばら嶮岨けんそをつたい、鞍馬くらま大深林だいしんりんをあそびまわっているのは、果心居士かしんこじ童弟子わらべでし、いがぐりあたまの竹童ちくどうであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はちやいがぐりや臼がかにの味方になって登場するのもやはり自然の方則に従って出て来るので、法律で蜂と栗と臼の登場を禁じると、今度はさそりやばらやたくあん石が飛び出して来るかもしれない。
さるかに合戦と桃太郎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「うさぎさん、うさぎさん。かちぐりをくれないか。」
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「うさぎさん、うさぎさん。かちぐりをくれないか。」
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ゆでぐりやあぐら上手な小さい子
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)