から)” の例文
これより他木さらになく、俗に唐松といふもの風にたけをのばさゞるがこずゑは雪霜にやからされけん、ひくき森をなしてこゝかしこにあり。
自分はそのいろいろな目にって、幾度となく泣きたくなった事はあるが、からしの今日こんにちから見れば、大抵は泣くに当らない事が多い。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
乏しい賃銀ながら、それに由って生物として飢餓線を守ることは出来るでしょう。しかし人格者としての生活は無残にもからされてしまいます。
婦人指導者への抗議 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
従ってその反対なもの即ちすべての陰気、骨だらけの女やよろず河魚類、すし、吸物すいもの、さしみ、あらい、からした心、日本服など頗る閉口するのである。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
九十に近い老僧がからびた病躯びょうくに古泥障を懸けて翼として胡蝶の舞を舞うたのであった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
我々われわれ地方ちほう不作ふさくなのはピンぬまなどをからしてしまったからだ、非常ひじょう乱暴らんぼうをしたものだとか、などとって、ほとんひとにはくちかせぬ、そうしてその相間あいまには高笑たかわらいと、仰山ぎょうさん身振みぶり
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
カピ長 いや、はやるものははやくづるゝ。すゑたのみをみなからし、たゞ一粒ひとつぶだけのこった種子たね此土このよたのもしいは彼兒あればかりでござる。さりながら、パリスどの、言寄いひよってむすめこゝろをばうごかしめされ。
やはからさむあたゝかき
友に (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
これより他木さらになく、俗に唐松といふもの風にたけをのばさゞるがこずゑは雪霜にやからされけん、ひくき森をなしてこゝかしこにあり。
の松村の村はずれ、九本松くほんまつという俚称りしょうは辛く残りながら、樹々は老いからせかじけてまさよわい尽きんとし、或は半ばげ、或は倒れかかりて、人の愛護の手に遠ざかれるものの
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
みな盜人ぬすびとのやうな奴等計やつらばかりだとか、乘馬じようばけば一にちに百ヴエルスタもばせて、其上そのうへ愉快ゆくわいかんじられるとか、我々われ/\地方ちはう不作ふさくなのはピンぬまなどをからしてしまつたからだ、非常ひじやう亂暴らんばうをしたものだとか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
葉の浮きたる、巻きたる、開き張りたる、破れ裂けたる、からび果てたる、皆好し。くきの緑なせる時、赭く黒める時、いづれ好からぬは無く、蜂の巣なせるものも見ておもむき無からず。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
細長い輪郭の正しい顔の七十位の痩せからびた人ではあつたが、突然の闖入に対して身じろぎもせず、少しも驚く様子も無く落つき払つた態度で、恰も今まで起きてゞも居た者のやうであつた。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
細長い輪郭の正しい顔の七十位のからびた人ではあったが、突然の闖入に対して身じろぎもせず、少しも驚く様子もなくおちつき払った態度で、あたかも今まで起きてでもいた者のようであった。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)