末路まつろ)” の例文
周三はまた、「何點どこか俺の生母せいぼに似たとこがある。」と思ツた。で何となく懐慕なつかしいやうにも思はれ、また其のさびしい末路まつろあはれになツて
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
遠き故事を引くにも及ばず、近きためしは源氏の末路まつろ仁平にんぺい久壽きうじゆの盛りの頃には、六條判官殿、如何いかでか其の一族の今日こんにちあるを思はれんや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
およそ古今の革命かくめいには必ず非常の惨毒さんどくを流すの常にして、豊臣とよとみ氏の末路まつろのごとき人をして酸鼻さんびえざらしむるものあり。
「長いあいだ、わがままを申しました。かくのごとき末路まつろへお誘いいたしたのも、私のせいだったかもしれません。血気、やむにやまれぬ我武者がむしゃの私の」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けたゝましく郵便脚夫いうびんきやくふ走込はしりこむのも、からすくのも、みななんとなく土地とち末路まつろしめす、滅亡めつばうてうであるらしい。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかし、このねずみはりこうなねずみでありましたから、いま、こんなふうになってしまったバケツにたいして、なにもいいませんでした。ただこころなかで、その末路まつろあわれんでいたのであります。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「実にうまく出来ている。悪人の末路まつろは皆こんなものだ」
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
末路まつろふたゝしんを成せるは、かなしむべきかな。
ても角ても叶はぬ命ならば、御所のいしずゑまくらにして、魚山ぎよさん夜嵐よあらしかばねを吹かせてこそ、りてもかんばしき天晴あつぱれ名門めいもん末路まつろなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
畏れ多くはあるが、足利あしかが将軍家も、もうぜひなき末路まつろとはお考えになりませんか
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなはひといへとは、さかえるので、かゝ景色けしきおもかげがなくならうとする、末路まつろしめして、滅亡めつばうてうあらはすので、せんずるに、へびすゝんでころもぎ、せみさかえてからてる、ひといへとが、みな光榮くわうえいあり
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
前には邦家のきふに當りながら、うしろには人心の赴くところ一ならず、何れ變らぬ亡國の末路まつろなりけり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
聞きおわった蔦之助つたのすけは、こおどりせんばかりによろこんだ。武田滅亡たけだめつぼう末路まつろをながめて、悲憤ひふんにたえなかったかれは、伊那丸の行方ゆくえを、今日こんにちまでどれほどたずねにたずねていたか知れないのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれどやがて、その年十二月十九日の頃には、世人はもっともっと深刻な浅ましき武門の末路まつろを見た。それは村重やその一族が織田軍の手にゆだねて行った妻子老幼、召使の女子たちの処分であった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あかざる慾のためにこのみにくき末路まつろはなにごと。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鷺山さぎやまの道三もだ! ろくな末路まつろげまい)
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪入道あくにゅうどう末路まつろ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
偽帝ぎてい末路まつろ
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)