トップ
>
木理
>
もくめ
ふりがな文庫
“
木理
(
もくめ
)” の例文
もうだいぶ長く雨風にさらされて白くされ古びとげとげしく
木理
(
もくめ
)
を現わしているのであるが、その柱の一面に年月日と名字とが刻してある。
小浅間
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
二人の目は意味もなく前の方を見てゐる。その視線は丁度ベンチの
木理
(
もくめ
)
の上を這つてゐる一疋の蠅の跡を追つてゐるのである。
駆落
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
こういう高札の文句というものは、もっと昔からあったものかも知れないが、今ここへ掲げられてあるのは、墨の色も
木理
(
もくめ
)
も至って新しい。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
木理
(
もくめ
)
をこすり出した虫喰いの杉板四枚に、漆で朝顔その他の植物をあらわし、終りに近い月〔三日月〕は磨いた真鍮で、葉は暗色の青銅で
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「これは旦那、
楓
(
かへで
)
の木ですよ、この山でも斯んな楓は珍しいつて評判になつてるんですがネ、……なるほど、いゝ
木理
(
もくめ
)
だ。」
みなかみ紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
▼ もっと見る
からりとした
椽
(
えん
)
を通り越して、奇麗な
木理
(
もくめ
)
を一面に
研
(
と
)
ぎ出してある西洋間の戸を半分明けると、立て切った中は暗い。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それからもつと他にはきれをめちや/\に引き裂いたやうなのや、螺旋状に巻かつたのや、或は
木理
(
もくめ
)
のやうな形のやねば/\した、糸のやうなのがある。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
幹形、
木理
(
もくめ
)
麗
(
うる
)
はしいと云つたところで、大森林のメルクシ松を、世界の何処へ売り出さうと云ふのだ……。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
僕の
木彫
(
もくちょう
)
だって難関は有る。せっかくだんだんと
彫上
(
ほりあ
)
げて行って、も少しで
仕上
(
しあげ
)
になるという時、木の事だから
木理
(
もくめ
)
がある、その木理のところへ
小刀
(
こがたな
)
の力が加わる。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
木理
(
もくめ
)
も見えぬほどに汚れた三尺の上り框のとっつきがすぐ階段になって、これを踏み昇ると坊主畳を敷いた三十畳ほどの大部屋があり、幟を染め直した蒲団を着たのが
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そのくせ目は妙にさえて目の前に見る天井板の細かい
木理
(
もくめ
)
までが動いて走るようにながめられた。神経の
末梢
(
まっしょう
)
が大風にあったようにざわざわと小気味わるく騒ぎ立った。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
目の前に出された置物台の
木理
(
もくめ
)
をしらべたり、指先で尺をとったり、こんこん台の脚をたたいたりして説明するんだが、その手つきにはどこか真似のできない巧みさがあり
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
この栃の木という材は、材質が真白で、
木理
(
もくめ
)
に銀光りがチラチラあって純色の肌がすこぶる美しいので、かつてこの材を用いて
鸚鵡
(
おうむ
)
を作り、宮内省の御用品になったことがある。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それは黒ずんだ、ゆたかな
木理
(
もくめ
)
がおもて一杯にひろがった、美しい木で出来ていました。そのおもてがまた、小さなパンドーラの顔が映って見えるほど、よく磨かれていました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
松宇
(
しょうう
)
氏来りて
蕪村
(
ぶそん
)
の
文台
(
ぶんだい
)
といふを示さる。
天
(
あま
)
の
橋立
(
はしだて
)
の松にて作りけるとか。
木理
(
もくめ
)
あらく上に
二見
(
ふたみ
)
の岩と
扇子
(
せんす
)
の中に松とを画がけり。筆法無邪気にして蕪村若き時の筆かとも思はる。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ただし白檜のが、果して偃松と同じ動き方であるかどうかは、多少の疑問もないではない。あの白檜の真の枯木によく見られる、幹や枝の
木理
(
もくめ
)
のねぢれを思うと、何かそんな気もするのだ。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
そこには、彼が入りしなすでに発見したことであったが、扉から三尺ほど離れている所に、
木理
(
もくめ
)
の
剥離片
(
ささくれ
)
が突き出ていて、それに、
黝
(
くろ
)
ずんだ衣服の繊維らしいものが引っ掛っていたからだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
先日
(
こないだ
)
女房が地主の旦那と一緒に町へ出かけて行って、夜になってから帰って来たことがあったが、その日曜日には、彼女が
木理
(
もくめ
)
リボンをつけ、
薄紗
(
うすしゃ
)
のショールをかけていたのを彼は思いだした。
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
雨漏りの
痕
(
あと
)
が怪しげな形を茶褐色に
画
(
えが
)
いている紙張の天井、濃淡のある
鼠色
(
ねずみいろ
)
に汚れた白壁、廊下から
覗
(
のぞ
)
かれる処だけ紙を張った
硝子窓
(
がらすまど
)
、
性
(
しょう
)
の知れない不潔物が
木理
(
もくめ
)
に染み込んで、乾いた時は灰色
食堂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
だから米友は、なんとなく穏かでないと感じた時、はじめて、さきほど高札場で読んだお
定書
(
さだめがき
)
、その色と
木理
(
もくめ
)
の新しいのがピンと頭へ来ました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
若木が種から芽をふいた瞬間から、古い木が死ぬ時迄毎年一つの輪一つの
木理
(
もくめ
)
を形づくるのだ。さあ、これで分つたらう。では、此の梨の木の層を数へて見よう。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
多くの松を通り越して左へ折れると、
生垣
(
いけがき
)
に奇麗な門がある。果して原口といふ標札が出てゐた。其標札は
木理
(
もくめ
)
の
込
(
こ
)
んだ
黒
(
くろ
)
つぽい板に、
緑
(
みどり
)
の
油
(
あぶら
)
で名前を
派出
(
はで
)
に
書
(
か
)
いたものである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
木理
(
もくめ
)
美
(
うるは
)
しき
槻胴
(
けやきどう
)
、縁にはわざと赤樫を用ひたる
岩畳
(
がんでふ
)
作りの長火鉢に対ひて話し
敵
(
がたき
)
もなく唯一人、少しは淋しさうに坐り居る三十前後の女、男のやうに立派な眉を
何日
(
いつ
)
掃ひしか剃つたる痕の青〻と
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
木理
(
もくめ
)
の
曝
(
ざ
)
れた
湯槽
(
ゆぶね
)
の
桁
(
けた
)
を枕にして、外を見ることのできない眼は、やっぱり内の方へ向いて、すぎこし
方
(
かた
)
が思われる。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
多くの松を通り越して左へ折れると、
生垣
(
いけがき
)
にきれいな門がある。はたして原口という標札が出ていた。その標札は
木理
(
もくめ
)
の込んだ黒っぽい板に、緑の油で名前を
派手
(
はで
)
に書いたものである。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
木理
(
もくめ
)
美
(
うるわ
)
しき
槻胴
(
けやきどう
)
、縁にはわざと
赤樫
(
あかがし
)
を用いたる岩畳作りの
長火鉢
(
ながひばち
)
に
対
(
むか
)
いて話し
敵
(
がたき
)
もなくただ一人、少しは
淋
(
さび
)
しそうに
坐
(
すわ
)
り居る三十前後の女、男のように立派な
眉
(
まゆ
)
をいつ
掃
(
はら
)
いしか
剃
(
そ
)
ったる
痕
(
あと
)
の青々と
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
“木理”の意味
《名詞》
木目。
(出典:Wiktionary)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
理
常用漢字
小2
部首:⽟
11画
“木”で始まる語句
木
木立
木綿
木偶
木枯
木乃伊
木蔭
木履
木精
木樵