旅路たびぢ)” の例文
ぢゃによって、こひかみ御輦みくるま翼輕はねがるはとき、かぜのやうにはやいキューピッドにもふたつのはねがある。あれ、もう太陽たいやうは、今日けふ旅路たびぢたうげまでもとゞいてゐる。
其人そのひといま新聞しんぶん題目だいもくとなつて世人よのひといぶか旅路たびぢこゝろざしたといふ、その行先ゆくさき何地いづこであらう、その目的もくてきなんであらう。
なし幸ひ雨も小降こぶりになりぬ翌日は天氣になりなんとこゝろせかるゝ十兵衞は死出しで旅路たびぢと知ぬ身の兄長庵に禮を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は膽振ゐぶりの國の苫小牧とまこまいに住む妹夫婦の家を訪ふべく、初めての北海道の旅路たびぢについた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
浮世を忍ぶ旅路たびぢなればにや、一人は深編笠ふかあみがさおもてを隱して、顏容かほかたちるに由なけれども、其の裝束は世の常ならず、古錦襴こきんらん下衣したぎに、紅梅萌黄こうばいもえぎ浮文うきあや張裏はりうらしたる狩衣かりぎぬを着け、紫裾濃むらさきすそごの袴腰
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
はるかなるひと旅路たびぢの果てにして壱岐いき夜寒よさむ曾良そらは死にけり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
なつかし、伊太利イタリ旅路たびぢ精舍しやうじやの壁。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
旅路たびぢあつれては、みつべき
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
死出しで旅路たびぢをふだらくや
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
旅路たびぢはるけくさまよへば
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
旅路たびぢはるかに野邊行かば
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
旅路たびぢに迷ふ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さきほどより愁然しゆうぜんかうべれて、丁度ちやうど死出しで旅路たびぢひとおくるかのごとく、しきりになみだながしてる。
引連ひきつれ誘引さそへばさそふ秋風にすゑ散行ちりゆく我が身ぞと知ぬ旅路たびぢあはれなる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はるかなる旅路たびぢのひまのひと時をここの小島をじまにおりたちにけり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)